1987 年 29 巻 2 号 p. 157-168
表皮細胞の分化, 増殖における情報伝達機構の役割を1) cAMP・A kinase系, 2) diacylglycerol・C kinase系, 3) Ckina8eとCa2+の協同効果, 4) C kinaseとEGF receptor, 発癌遺伝子との関係に分けて述べた。低濃度Ca2+の条件下のマウス培養表皮細胞における実験で, C kinase活性化物質がA kinase系を含む他の刺激物質では見られない分化促進の像を呈する。またin vivoにおいてもCkinase活性化物質は表皮, 毛のうの増殖と分化をmodulateする。よってCkinaseが表皮細胞の分化と増殖に重要な役割を担っている可能性が強い。以上のわれわれのデータをベースにして, 進歩の著しいC kinseを中心にして, 文献的考察を加えて記述した。