1987 年 29 巻 3 号 p. 459-463
26歳, 男。初診3日前に右大腿伸側の圧痛ある皮下腫瘤に気付く。初診時, 右大腿伸側に直径約1.5cmの皮膚よりわずかに隆起した, 正常皮膚色, 弾性硬の皮下腫瘤を認め, 生検を兼ね全摘出した。組織学的に腫瘍は被膜を持たず, 線維腫様組織が一見浸潤性に皮下脂肪織に広がっていた。主に線維芽細胞様細胞で構成されており, 所々に核分裂像を認めた。毛細血管の増生や赤血球の管外溢出, 粘液腫様を呈する部分も見られ, 周辺部にはリンパ球, 組織球, 多核巨細胞よりなる細胞浸潤が見られた。これらの所見よりnodular (Pseudosarcomatdo8arcomatous) fasciitisと診断した。現在までに再発は認められない。