皮膚
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アトピー性皮膚炎と蕁麻疹のかゆみ
山田 正之足立 準滝尻 珍重小嶋 益子青木 敏之
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1987 年 29 巻 4 号 p. 717-721

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抄録

アトピー性皮膚炎 (51人) と蕁麻疹 (33人) の患者に痒みについての種々の質問を含む簡単な調査表を渡し, 経験する痒みについて回答してもらった。痒みの程度, 痒みの起こる度合, 痒みを起こす因子のうち緊張, 休息, 就眠, 入浴, 食事および運動, 掻く頻度, 痒みの眠りへの影響などは, 両群間に統計的に有意の差はなかった。しかし次の3つの点において両群間に有意差が認められた。
1. アトピー性皮膚炎では痒みの起こる時間が決まっていなかったのに比べて, 蕁麻疹では夕夜間に多かった。2. アトピー性皮膚炎では蕁麻疹よりも発汗時に痒みが起こることが多かった。3. アトピー性皮膚炎の痒みは掻いてもなかなか収まらなかったのに比べて, 蕁麻疹の痒みは掻けばかえってひどくなった。1. は夕と夜間を区別して再検討するを要し, 2. はアトピー性皮膚炎と汗との強い関連を示すものとして重要で, 3. はそれぞれの疾患の痒みの病態を示すものとして興味深いものと思われる。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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