皮膚
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乳癌の皮膚転移「炎症型」の2例
伏田 宏代中川 浩一林 庸一郎新藤 季佐小林 裕美濱田 稔夫川添 義行曽和 融生梅山 馨
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1992 年 34 巻 3 号 p. 323-327

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抄録

症例1: 57歳, 女性。症例2: 47歳, 女性。ともに左側乳癌のため, 定型的乳房切断術及び放射線治療が施行されたが, 症例1は約10カ月後より手術瘢痕部付近から左上腕にかけて, 発汗過多, 掻痒を伴う浮腫性紅斑が出現し, 症例2は同じく約1年後より手術瘢痕部を中心とした左胸部に掻痒を伴う浸潤性の紅斑性局面が出現した。生検標本では, ともに真皮の脈管内に異形性を伴った腫瘍細胞の浸潤がみられ, 症例1に関しては, その浸潤細胞が電顕的に腺上皮細胞由来であることが示唆された。また, 症例2に関してはいわゆる丹毒様を呈しており, 転移性皮膚癌の一型とされている丹毒様癌に相当するものであると判断した。組織学的にはともに腫瘍細胞の管腔内塞栓像を認め, 炎症型の転移形式をとった乳癌の皮膚転移例と診断した。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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