皮膚
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溶接業従事者の手背に見られたpoikilodermaに生じたBowen病の1例
大磯 直毅福田 道夫竹村 宏代濱田 稔夫石井 正光
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キーワード: 溶接業, 輻射線, Bowen
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1996 年 38 巻 1 号 p. 64-68

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抄録

44歳, 男性。15歳時より溶接業に従事していた。25歳頃より右手背に色素沈着を伴う萎縮性局面が, 40歳頃より右第2指背部にびらん, 痂皮を伴う紅斑が出現するようになった。初診時, 右手背を中心に, 境界不明瞭な萎縮性局面を認め, 色素沈着, 痂皮を伴っており, poikilodermaと診断したが, 右第2指背部にはびらんが認められ, その部を生検したところ, 病理組織学的にBowen病の所見が得られた。溶接時に放出される各種輻射線の反復暴露によりpoikilodermaを呈し, その一部にBowen病が発生したものと診断した。規定された保護具による防御対策の実行が発症予防に肝要と考えた。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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