皮膚
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脂漏性角化症に続発した前癌性の毛嚢漏斗部腫瘍
速水 誠
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1996 年 38 巻 6 号 p. 600-606

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抄録

68歳女性の下腹部に存在した脂漏性角化症 (SK) の上に, 約半年前より腫瘍が新生した。組織学的にはintermediate typeのclear cellとbasaloid cellの多柱状増殖で, 数ケ所に楔型の角質柱, squmous eddies, 角質嚢腫が存在し, 毛嚢漏斗部への分化を思わせた。腫瘍細胞には異型性, 核分裂像, 個別細胞角化などの悪性変化を認めるが, 基底膜は保持されており, epitheliomaレベルのものと考えられた。SKと腫瘍の境界線は鮮明であるが数個の表皮突起をジグザグに横断して見られた。以上の所見より自験例をSKに続発した前癌性毛嚢漏斗部腫瘍と診断した。SKに表皮性悪性腫瘍を続発したとの報告は散見されるが, 毛嚢系悪性腫瘍の報告は稀である。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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