抄録
74歳女性。約10年間, 鉄剤を内服していた。1ヵ月前から全身に蚤痒性紅斑が多発したため来院した。血小板減少, 肝機能異常, 甲状腺機能低下, 糖尿病, Ca19-9高値などを認め, 血清フェリチン8590ng/ml, UIBC 7μg/dl, MRIにて肝臓に著明な鉄沈着を認めたため続発性ヘモクロマトーシスと診断した。紅斑はステロイドの外用で軽快し, あとにヘモジデリンによる色素沈着を残した。メシル酸デフェロキサミン (デスフェラール®) 500~1000mg/dayを点滴投与し, 血清フェリチンの低下とともに肝機能や血糖値にも改善がみられ, 皮膚の色素沈着も軽減した。