皮膚
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40 巻, 2 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 佐々木 一之
    1998 年 40 巻 2 号 p. 105-114
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    皮膚科・眼科の共通話題の中からアトピー性眼症, 紫外線誘発眼症につき眼病変の場を水晶体とした話題を提供した。
    アトピー性皮膚炎では角・結膜病変以外の眼併発所見を視診だけでは検出することはできない。管理に当っては眼科医との連携が望まれる。長期間投与されるステロイド剤は局所投与であれ白内障の進行因子となる。眼症状の中には重篤な視覚障害に至る症例もあり眼科医, 皮膚科医共々軽視してはならない。
    紫外線誘発眼疾患として注目されているのが白内障である。視覚の回復は抗白内障薬への期待度が低い現在, 手術以外にない。一般的には紫外線眼障害はあまり認識されていないが患者の健康教育の中で紫外線に対する防御の知識を広めて欲しい。
  • 須貝 哲郎
    1998 年 40 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    わが国における香粧品製剤の皮膚安全性は飛躍的に高くなり, 香粧品による接触アレルギーは減少したが, 住環境の変化とovertreatmentとにより, 慢性型刺激性香粧品皮膚炎, 特にシャンプー皮膚炎が増加している。中には化粧品不耐性の症例もみられる。
  • 深井 和吉, 鶴田 大輔, 茶之木 美也子, 小林 裕美, 染田 幸子, 中川 浩一, 谷口 彰治, 石井 正光, 青木 洋祐
    1998 年 40 巻 2 号 p. 122-125
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    各種炎症性皮膚疾患とメダラシンの関係を調べるため, 掌蹠膿疱症, アロポー肢端稽留性皮膚炎, ベーチェット病と結節性紅斑 (以上A群), 急性及び慢性湿疹と蕁麻疹 (B群) の合計20例について, 塩酸アゼラスチンによる治療前後で血液中メダラシン濃度を測定した。A群では治療前後ともにメダラシン濃度は上昇していた。B群では治療前後で変化はなかったが, 皮疹が改善した著効例のみについてみると有意にメダラシン濃度が減少していた。メダラシンは炎症性皮膚疾患の成り立ちに関与している可能性が示唆された。
  • 調 裕次, 山路 雅己, 高木 圭, 川津 智是
    1998 年 40 巻 2 号 p. 126-130
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    乾癬性関節炎の患者においてエイテストIgG-RFを測定した。乾癬患者ではエイテストIgG-RFの慢性関節リウマチでのカットオフ値の2.0を超えることはなかったが, 関節炎の程度に並行し増減がみられ, 関節炎の強い時期は抗体値は1.0以上となり弱い時期は1.0未満を示す傾向があった。IgG-RFの値と乾癬の皮疹の程度とは相関関係はみられなかった。IgG-RFは, 乾癬の関節炎において多因子な病因の一つとして関与している可能性が考えられた。
  • 林 顕秀, 後藤 靖, 中川 浩一, 石井 正光
    1998 年 40 巻 2 号 p. 131-133
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    フッ化水素酸による化学熱傷の1例を報告した。患者は39歳, 男性で建物管理会社に勤務している。初診の前日に, 仕事中フッ化水素酸を含んだ洗浄液に素手で接触した。その後簡単に水で洗浄したが, 受傷数時間後より, 右第2指, 指尖部に有痛性皮疹が出現した。外来で保存的治療をしたが壊死が拡大してきたため, 入院の上, デブリードマン, 腹部皮弁術を施行した。フッ化水素酸による熱傷は, 化学熱傷の中でも疼痛が著明で組織深達性が強い。今後, 産業現場や医療現場での, 化学薬品および受傷の際の取り扱いにつき充分, 習熟しておく必要がある。
  • 森 有紀, 泉谷 敦子, 織田 知明, 山田 秀和, 手塚 正
    1998 年 40 巻 2 号 p. 134-137
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    64歳, 女性。平成4年4月より慢性腎不全にて透析中である。平成5年12月頃より, 口腔内と手掌に水疱, 紅斑が出現し, 色素沈着を残して治癒した。平成6年10月までに同様の症状が数回繰り返したため当科を受診した。四肢及び顔面に紅暈を伴った円形暗赤色の水疱, 色素斑が散在性に存在した。病変部は前回皮疹が見られなかった部位にも広がっていた。固定薬疹と診断し, 原因薬剤精査していたところ, 平成6年11月, 感冒にかかり, PL顆粒®を内服した。その2日後, 皮疹の範囲が拡大し, 色素斑上にも紅斑が認められた。内服テストにてPL顆粒®で陽性反応を示した。成分内服テストではサリチルアミドで陽性所見が得られた。
  • 平井 佐代子, 村松 勉, 白井 利彦
    1998 年 40 巻 2 号 p. 138-141
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    65歳, 男性。当科初診の10日前より体幹, 四肢に緊満性の水疱が多発してきた。水疱部の病理組織像は表皮下水疱で, 同組織での蛍光抗体直接法にて基底膜部に.gGおよびC3の線状沈着を認めた。ヒト正常皮膚を基質として用いた蛍光抗体間接法では患者の血清中に基底細胞の細胞質に対するIgG抗体が検出された。ヒト正常表皮抽出物を用いたイムノブロット法では, 180kDおよび60kDに陽性バンドを認めた。以上の所見より, 本症例をBP180および基底細胞の細胞質に対する血中抗体を有する水疱性類天疱瘡と診断した。
  • 山路 雅己, 調 裕次, 高木 圭一, 川津 智是
    1998 年 40 巻 2 号 p. 142-146
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    74歳女性。約10年間, 鉄剤を内服していた。1ヵ月前から全身に蚤痒性紅斑が多発したため来院した。血小板減少, 肝機能異常, 甲状腺機能低下, 糖尿病, Ca19-9高値などを認め, 血清フェリチン8590ng/ml, UIBC 7μg/dl, MRIにて肝臓に著明な鉄沈着を認めたため続発性ヘモクロマトーシスと診断した。紅斑はステロイドの外用で軽快し, あとにヘモジデリンによる色素沈着を残した。メシル酸デフェロキサミン (デスフェラール®) 500~1000mg/dayを点滴投与し, 血清フェリチンの低下とともに肝機能や血糖値にも改善がみられ, 皮膚の色素沈着も軽減した。
  • 藤田 美智子, 草壁 秀成, 清金 公裕
    1998 年 40 巻 2 号 p. 147-150
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    37歳, 女性。初診の3-4年前に自転車で転倒し, 両下腿を打撲した後より同部位に紅色皮疹が出現した。自覚症状がないため放置していたが打撲を繰り返すことがないにもかかわらず次第に数が増え, 消退傾向を認めないため当科を受診した。既往歴, 家族歴に糖尿病はなく, 血液検査, ブドウ糖経口負荷試験で異常を認めなかった。生検皮膚の病理組織検査では表皮の萎縮, 真皮上層から下層にかけて膠原線維の類壊死がみられ, その類壊死巣の周囲にはリンパ球, 組織球, 多核巨細胞よりなる細胞浸潤を認めた。ズダンIII染色では類壊死部に脂肪滴の沈着を認めた。以上の所見よりnecrobiosis lipoidicaと診断した。本疾患には糖尿病の合併頻度が高いことより, 今後糖尿病が発症することも考えられるため, 経過観察中である。
  • 宮本 朋子, 羽白 誠, 奥村 睦子
    1998 年 40 巻 2 号 p. 151-154
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    34歳, 男性。初診の約3ヵ月前に右大腿内側の皮下腫瘤に気づき, 平成8年4月19日当科を受診した。腫瘤は約20mm×12mm大で弾性硬, 可動性は良好であった。pilomatrixomaを疑い全摘出術を施行した。病理組織学的所見では, 真皮から皮下組織にかけて陰影細胞及び好塩基性細胞よりなる腫瘍塊を認め, 異型性を伴った好塩基性の腫瘍細胞は胞巣状に皮下脂肪織内に浸潤性に増殖し, 核分裂像も散見された。malignant pilomatrixomaと診断し, 筋膜を含めて手術創痕より3cm離し再切除した。術後約1年半経過したが, 再発は見られていない。
  • 倉知 貴志郎, 伊藤 由佳, 三浦 宏之, 小塚 雄民, 池上 信子
    1998 年 40 巻 2 号 p. 155-159
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    HIV無症候キャリア2例に対して, 逆転写酵素阻害剤であるdidanosineとプロテアーゼ阻害剤であるindinavirの併用療法を行った。2例とも末梢血中CD4陽性細胞数の増加, INF-α 産生能増加とHIV-1ウイルスRNA量の著減を得た。CD4陽性細胞数の増加は, CD8陽性細胞が減少していない症例において著明であった。HIVの感染防御, 発病予防におけるCD8陽性細胞障害性T細胞を主体とした細胞性免疫の重要性に関して文献的考察を加えた。
  • 須貝 哲郎
    1998 年 40 巻 2 号 p. 160-164
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    BPAAクリ-ムとその関連製剤の計4試料について, その皮膚に対する安全性を健常成人志願者26名を対象として予知パッチテストおよび光パッチテストによる比較検討を行った。
    BPAAクリームの皮膚刺激指数はインドメタシンクリームと同等の19.2で, いずれも許容品と判定した。また, 光蕁麻疹指数は1.9, および光毒指数は0.0であり, 紫外線に対しては安全品であることが確認された。
  • 早川 律子, 蜷川 よしみ
    1998 年 40 巻 2 号 p. 165-171
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    尋常性痙瘡治療薬ナジフロキサシン (OPC-7251) ローションの皮膚安全性を検討するために, 健常成人ボランティア30名を対象に48時間閉鎖貼布試験, 光貼布試験を施行した。皮膚刺激指数は1%ナジフロキサシンローション, 1%ナジフロキサシンローション経時品は11.7, ローション基剤は1.7, ローション基剤経時品は3.3, 精製水は3.3であった。また, 光過敏反応を呈した例は認めなかった。以上の結果より, 1%ナジフロキサシンローションは臨床応用可能な製剤と判定した。
  • 村田 洋三
    1998 年 40 巻 2 号 p. 174-180
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Paraneoplastic syndromeは悪性腫瘍の直接浸潤によらないremote effectとして発現する特定臓器, あるいは全身症状であり, 以下の4点において重要である。(1) 悪性腫瘍の発見, 早期治療に繋がること,(2) 広範な転移による症状と誤診して治療方針を誤らぬこと,(3) 悪性腫瘍の治療効果のmonitorとなりうること,(4) 必要な対症治療の適応の決定にparaneoplastic syndromeの理解が必要なこと, である。全身及び各臓器のparaneoplastic syndromeについて通覧し, その病態について述べた。Paraneoplastic syndromeの発症にはhormone, cytokineなどの産生が関与するものと, 悪性腫瘍に対する免疫反応が自己免疫現象を招来するものなどが考えられ, その詳細が近年の分子生物学的研究により解明されつつある。
  • 奥村 睦子, 宮本 朋子, 羽白 誠, 園田 早苗
    1998 年 40 巻 2 号 p. 181-184
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    腫瘍随伴性皮膚病変 (paraneop-asticsyndrome) の可能性を持つ疾患で, どの程度の頻度で内臓の悪性腫瘍を検出し得るかを, 典型的な中規模一般病院である当院を好例として実状を調べてみた。皮膚筋炎, 水疱性類天疱瘡, 紅皮症, 汎発性帯状ヘルペスの4病変について1989~1996年の皮膚科入院患者1308例を検討した。皮膚筋炎は4/8例と高く, 類天疱瘡は2/19例, 紅皮症は1/12例であった。薬剤及び感染症由来を除外した中毒疹は3/36例で, 残る38例のうち8例がATLを含む皮膚悪性リンパ腫の固有疹であった事は興味深い。汎発性帯状疹は検索にて検出しえた例は無いが, 発症時9/64例が重症合併症を伴っていた。
  • 伊藤 由佳, 三浦 宏之, 田邉 昇, 倉知 貴志郎, 小塚 雄民, 三嶋 秀行, 吉川 宣輝
    1998 年 40 巻 2 号 p. 185-189
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    症例1 62歳, 男性。皮膚筋炎と食道癌を合併し, 食道抜去術を施行した。術後, 皮膚筋炎の増悪は認めていない。
    症例2 89歳, 男性。紅皮症とS状結腸癌, 上行結腸癌を合併し, S状結腸および, 右半結腸切除術施行した。術後, 蚤痒感は軽減したが, 皮疹は消失しなかった。内臓悪性腫瘍と皮膚筋炎, 紅皮症の合併について考察を加えた。
  • 調 裕次, 山路 雅己, 高木 圭一, 川津 智是
    1998 年 40 巻 2 号 p. 190-194
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    55歳男性。平成7年全身性強皮症 (PSS) と診断され, 平成8年5月当科を初診した。同年6月白血球減少で当科入院となった。入院時検査で間質性肺炎を認めステロイド加療中に心嚢液貯留を生じ, PSSに伴う心外膜炎を疑い心嚢穿刺を施行したところ、細胞診で腺癌所見を認めた。生前の検査では原発巣は確認できず, 剖検にて心外膜, 上縦隔, 大動脈弓に腫瘍塊を認め, 肺からの浸潤性癌と考えられた。
    PSSに肺癌をはじめとする内臓悪性腫瘍合併例の報告が増えている。本症の診療に際してはこの点にも配慮する必要があろう。
  • 内臓癌の合併について
    笠原 美香, 西谷 知子, 原田 暁, 為政 大幾, 堀尾 武
    1998 年 40 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    多発性ボーエン病は単発例に比べ, 内臓悪性腫瘍を合併しやすいのではないかということが議論されている。
    1994年1月から1997年5月現在までに当科で6例の多発性ボーエン病患者, 男性2例, 女性4例を経験した。初診時平均年齢は71.5歳と高齢で, 内臓悪性腫瘍の合併が3例にみられ, 上行結腸癌と肝細胞癌の2例は多発性ボーエン病の診断前に発見され, 胃癌の1例は診断後の内臓検索にて発見された。またこのうち1例のみに砒素の摂取歴があった。本邦における多発性ボーエン病の内臓悪性腫瘍の合併は肺癌が最も多く, 次に胃癌, 大腸癌の順であった。
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