皮膚
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6-Benzylaminopurine (CTP) 配合育毛剤のヒトにおける有効性
三嶋 豊利谷 昭治中山 秀夫石井 明子河野 博明大久保 惇波多江 慎吉
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1998 年 40 巻 4 号 p. 407-414

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抄録

0.5%CTP配合育毛剤の有効性を86例の男性ボランティアにおいて盲検試験法に従って試験した。プラセボ群に比べて, CTP群では16週後における「硬毛疎の状態」,「軟毛の状態」および「落屑」に改善例が多く見られ, しかも8週後よりも16週後の方が増加する傾向を示した。総合的な改善度は, 軽度改善がプラセボ2例に対して, CTP群12例と有意 (p<0.01) に多かった。洗髪により脱落する毛の数を太さ別に分別して測定した結果では, 16週後の脱落毛の総数, 直径40μm以上の脱落毛数がプラセボ群, CTP群両群において開始時よりも減少したが, 統計的に有意な減少はCTP群のみで認められた。総合的有効度の判定で「やや有効」以上の例は, プラセボ3例 (7%) に対しCTP群20例 (47%) と有意に高かった。副作用は両群の全例において認められなかった。
ついで, 年令24-61歳の円形脱毛症およびビマン性脱毛症の10例に対してCTP製剤による改善効果を予備的に検討した。円形脱毛症の病巣部の「硬毛疎の状態」および「軟毛の状態」に改善が見られ, CTP製剤の発毛促進作用が認められた。効果発現までには3-5ヵ月の観察期間を要すると考えられた。悪化例および副作用発生例は全くなかった。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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