2000 年 42 巻 2 号 p. 184-187
69歳男性。左胸部に小豆大の弾性硬の皮下結節を認めた。生検の結果, HE染色では皮下脂肪組織深層に嚢腫様構造と, 周辺には線維芽細胞の増生に混じて多数の異物巨細胞, 好酸球, 少数のリンパ球, 好中球の浸潤が認められた。レイノー症状, しばしば繰り返す熱発発作などの全身症状を認めたため, Weber-Christian病を疑い脂肪染色を始めとする種々の特殊染色を行ったがWeber-Christian病を示唆する結果は得られなかった。従って, 自験例を脂肪壊死を伴った異物肉芽腫と診断した。