皮膚
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42 巻, 2 号
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  • 西嶋 攝子, 鈴木 健司
    2000 年 42 巻 2 号 p. 131-132
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 北川 恵子, 夏秋 優, 松本 二郎, 喜多野 征夫
    2000 年 42 巻 2 号 p. 133-136
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    クロラムフェニコールによる接触皮膚炎患者1名, および同薬剤に対する感作のない健常人3名の末梢リンパ球をin vitroで培養し, 特異抗原刺激に伴う増殖反応と培養上清中の各種サイトカイン(IFN-γ, I L-2, IL-4, IL-10)を測定した。その結果, クロラムフェニコールで感作された患者では特異抗原刺激によって末梢リンパ球の著明な増殖反応が認められ, 培養上清中のIFN-γ の産生が著明に亢進した。一方, 健常人コントロールではこれらの反応は認められなかった。このことから, クロラムフェニコールによる接触皮膚炎患者では, 同薬剤に対して特異的に増殖し, IFN-γ を産生する細胞が皮膚炎の発症に重要な役割を果たしていると思われた。
  • 川田 寿里, 山田 裕道, 松葉 よう子, 小川 秀興
    2000 年 42 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    電解酸性水の手指洗浄効果を検討した。外来診療終了時に医師・看護婦の計12名が電解酸性水 (弱酸性水, 強酸性水) の流水にて30秒間手揉み式の手洗いを行なった。対照には水道水を用いた。手洗いの前後で寒天培地に手掌を接触させて, 37℃, 48時間培養し, 手洗い後の細菌コロニー数の減少率より有効性の判定を行なった。弱酸性水は有効率79.2%, 著効率54.2%, 強酸性水は有効率79.2%, 著効率66.7%, 水道水では有効率56.3%, 著効率27.5%であった。通常の手洗い行為において電解酸性水による手指洗浄効果は水道水よりも有意に優れていることが示された。
  • 西井 貴美子, 須貝 哲郎, 赤井 育子, 田水 智子, 吉田 慶子
    2000 年 42 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    33歳, 女性。約3週間前に化粧品を変更し, 2日目頃から顔面に療痒性皮疹を認めたため来院した。初診時, 顔面に一部落屑を伴う療痒性紅斑を認めた。パッチテストで使用していたフェイスパウダーとパフに陽性, 成分パッチテストでオクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム, ムクロジエキスに陽性であった。ムクロジは果皮, 花に薬用部分のある植物である。近年, 無添加, 植物成分配合というキャッチフレーズの製品を多く見かけるが, 漢方薬, 食品に含まれている植物も多く注意が必要である。
  • 足立 準, 毛利 有希, 庄田 裕紀子, 羽白 誠
    2000 年 42 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    27歳, 男性。数年前より治療を拒否して自宅にひきこもり, 重症化したアトピー性皮膚炎患者に, 感染性心内膜炎, さらに播種性血管内凝固 (DIC) をきたし, 死亡に至った症例を経験した。皮膚, 血液培養より黄色ブドウ球菌 (MSSA) が検出され, 皮膚よりの細菌侵入が考えられた。感染性心内膜炎に伴う皮疹として, 手指, 足底に点状出血斑, 爪甲下の出血斑が認められた。
  • 馬場 圭子, 荻堂 優子, 東山 真里
    2000 年 42 巻 2 号 p. 153-157
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    61歳, 女性。数年前より, 顔面, 上肢のはぼ同一部位に疼痛を伴う紅斑が年に数回出没し色素沈着を残して軽快した。膀胱炎のため近医にて種々の薬剤を投与され, 自己判断にて内服していた。初診時, 上口唇, 頸部, 左耳, 左前腕, 及び右上腕の種痘後瘢痕部に拇指頭大までの暗紅色斑を認めた。貼付試験では無疹部, 皮疹部共に陰性であった。内服誘発試験でオゼックス150mg内服2時間後より症状が出現した。同時に外傷後瘢痕部にも新たに同様の紅斑が誘発された。オゼックスによる固定薬疹の報告は自験例を含め4例と稀である。瘢痕部に固定薬疹が誘発された点について若干の文献的考察を加えた。
  • 中林 淳浩, 浜口 太造, 寺本 輝代, 清 佳浩
    2000 年 42 巻 2 号 p. 158-161
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    54歳男。約15年前より両側前腕に擦過刺激により発赤する皮疹が出現し, 徐々に体幹へ拡大した。頚部から胸腹部, 上背部にわたり毛細血管拡張を伴う淡紅色斑を認め, 両腋窩, 前腕には米粒大までの紅褐色斑が多発していた。皮疹は療痒を伴わず, ダリエ徴候は陰性であった。腋窩の紅褐色斑よりの病理組織検査で, 真皮にトルイジンブルー染色に異染性を示す肥満細胞の密な増殖を認めた。血中および尿中ヒスタミン値は正常で, 腹部エコー, 骨X-Pも異常なかった。抗アレルギー剤内服にて加療したが明らかな効果はなかった。
  • 櫻根 純子, 福原 佐保, 佐野 榮紀, 田所 丈嗣, 浅田 秀夫, 板見 智, 吉川 邦彦
    2000 年 42 巻 2 号 p. 162-166
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    原発性肢端紅痛症の27歳と6歳の母娘例を報告した。母娘共に幼少時より両足から下腿にかけて潮紅, 灼熱感, 疼痛を認め, 成長につれて症状は増悪した。持続性疼痛に対し消炎鎮痛剤等の投与は無効であったが, 冷水浸漬によりわずかに緩和された。なお母の姉にも同症を認めた。この3例はいずれも血液疾患などの基礎疾患は認めなかった。以上より家族性原発性肢端紅痛症と診断した。母娘ともにserotoninreuptake inhibitorである塩酸クロミプラミンを投与し, いずれも症状の著明な軽減を認めた。
  • 村上 かおり, 鈴木 寛丈, 工藤 里香, 宋 寅傑, 末木 博彦, 飯島 正文
    2000 年 42 巻 2 号 p. 167-174
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    32歳, 男。約半年前より顔面に浮腫が出現し, 胸腹水, 全身リンパ節腫脹を伴い膠原病の疑診で当院内科に入院した。確定診断に至らぬまま3ヵ月後に全身に紅斑が出現し, 10ヵ月後に一部が隆起してきたため当科を受診した。現症: 背部に母指頭大までのレリーフ状に隆起する暗紅色結節が多発し, 両頬部に浮腫性紅斑を認め, 四肢には萎縮性紅斑局面が多発していた。結節性皮膚ループスムチン症 (NCLM) を疑い生検した。組織:(1) 背部の結節;真皮全層にわたり膠原線維東間が開大し, ムチンが沈着する。付属器周囲に小円形細胞浸潤を伴う。(2) 左前腕の円板状皮疹;ムチン沈着を伴うDLEの所見に一致する。血清補体低値, 抗核抗体・抗ds-DNA抗体高値。腎症なし。NCLMを伴ったSLEと診断し, methylprednisolone 24mg/日からの漸減療法を施行。背部の結節は消退・再燃を反復した。
  • 速水 淳史, 山脇 光夫, 堀尾 武
    2000 年 42 巻 2 号 p. 175-178
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    炎症性辺縁隆起性白斑は尋常性白斑の1症状または1亜型と一般的に考えられており, 発症機序に関してはいまだ定説はないが, 細胞性免疫の関与が強く示唆される。
    症例は61歳, 男性。前胸部に環状紅斑が出現し拡大傾向にあったため受診された。初診時, 左頚部に不整形脱色素斑とそれを取り囲むように境界不明瞭な浮腫性紅斑及びその近縁に白斑を伴わない淡い紅斑も認めたため, 炎症性辺縁隆起性白斑と診断した。ステロイド内服, 外用にて治療を行い, 治療開始後約3週間で白斑辺縁部の紅斑は消失し, 白斑の辺縁も不鮮明となってきた。このことより早期に炎症症状を消退させることが白斑の新生を抑える上で重要であると思われる。
  • 10症例のまとめ
    伊藤 由佳, 杉浦 典子, 松本 佳子, 大畑 千佳, 小塚 雄民
    2000 年 42 巻 2 号 p. 179-183
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1995年1月から1999年4月までに当科に受診した掌蹠踪膿疱症患者51名中, 掌蹠膿疱症性骨関節炎を認めたのは, 10名で19.6%であった。年齢は, 31歳から72歳平均46.3歳, 男性4人女性6人であった。部位は, 胸肋鎖骨が6例, 脊椎が3例, 手関節2例, 膝関節, 足趾が, それぞれ1例であった。
  • 松倉 章子, 野田 剛弘, 織田 知明, 手塚 正
    2000 年 42 巻 2 号 p. 184-187
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    69歳男性。左胸部に小豆大の弾性硬の皮下結節を認めた。生検の結果, HE染色では皮下脂肪組織深層に嚢腫様構造と, 周辺には線維芽細胞の増生に混じて多数の異物巨細胞, 好酸球, 少数のリンパ球, 好中球の浸潤が認められた。レイノー症状, しばしば繰り返す熱発発作などの全身症状を認めたため, Weber-Christian病を疑い脂肪染色を始めとする種々の特殊染色を行ったがWeber-Christian病を示唆する結果は得られなかった。従って, 自験例を脂肪壊死を伴った異物肉芽腫と診断した。
  • 遠藤 英樹, 弓立 達夫, 荒金 兆典, 川田 暁, 手塚 正, 小島 武
    2000 年 42 巻 2 号 p. 188-191
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    59歳, 男性。右上肢屈側に面飽様皮疹の集簇した局面があり, そのほぼ中央にうずら大の皮内結節を認めた。面飽様皮疹の病理組織像では表皮より連続する紡錘状や漏斗状の陥凹とその内部に層状の角質物質が充満した所見がみられた。皮内結節は病理組織学的に表皮嚢腫であった。以上より自験例を表皮嚢腫を伴った面飽母斑と診断した。自験例では表皮嚢腫が面飽様皮疹内に発生したことから, 表皮嚢腫も面飽母斑の1症状であると考えられた。従って, 本症は毛包漏斗部由来であると思われた。
  • 益田 浩司, 柴垣 亮, 三宅 敏彦, 安野 洋一
    2000 年 42 巻 2 号 p. 192-195
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    54歳男。約半年前より左下腿前面に結節が出現し, 徐々に増大してきたため当科を受診した。初診時左下腿前面に径2.5cmの紅色腫瘤を認めた。治療として, 腫瘍の辺縁から2cm離し, 筋膜を含めて切除および分層植皮術を施行した。組織学的に, 真皮から皮下組織にかけて密な腫瘍細胞の増殖を認め, 腫瘍細胞は紡錘形で索状に増殖しており, 核の大小不同, 異型性がみられた。免疫組織学的にはvimentin, α-smooth muscle actinは強陽性, desminは陰性であった。術後約1年を経過した現在局所再発及び遠隔転移は認めない。
  • 小川 基美, 為政 大幾, 原田 暁, 堀尾 武
    2000 年 42 巻 2 号 p. 196-199
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    53歳, 女性。右肩甲部内側の皮下腫瘤を主訴に受診した。腫瘤は約80×80mmの境界明瞭で弾性軟のドーム状に隆起した皮下腫瘤で, 下床との可動性は良好であった。脂肪腫を疑い腫瘍を摘出したが, 肉眼的には茶褐色を呈していた。病理組織学的には類円形から不規則な形をした褐色脂肪様細胞の分葉状発育を認めた。これらの所見よりhibernomaと診断した。Hibernoma細胞の由来や独特な色調については病理学的, 化学的な検討がなされているが, 比較的稀な疾患であるため, その詳細はいまだ明らかにされていない。
  • 縄手 紀子, 豊田 雅彦, 野本 浩生, 諸橋 正昭, 川口 誠, 若木 邦彦, 仲村 洋一
    2000 年 42 巻 2 号 p. 200-204
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    28歳男性の上背部に生じた有痛性腫瘤で組織学的にcellular neurothekeoma (富細胞性神経莢腫) の特徴を示した症例を報告した。すなわち真皮上層から皮下組織直上に存在する比較的境界明瞭な島状配列を持つ腫瘍胞巣から成り, 各胞巣内は細胞密度が高く, 腫瘍細胞は明るい胞体と円形-楕円形の核を有していた。Alcian blue染色にて腫瘍胞巣辺縁にムチンの存在が確認された。免疫組織化学的には, 腫瘍細胞はα-SMA, vimentin, human prolyl 4-hydroxylase, NSE, EMA, S-100蛋白に陽性を示した。自験例のcellular neurothekeomaは神経系細胞への分化に加え平滑筋細胞, 線維芽細胞, 筋線維芽細胞などへの多分化傾向を有していることが示唆された。
  • 前田 慶子, 須貝 哲郎, 赤井 育子, 西井 貴美子, 田水 智子, 永尾 淳
    2000 年 42 巻 2 号 p. 205-207
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    65歳, 女性。3年前より両頬部を中心に無症候性皮疹が出現し, 次第に増数してきたため当科を受診した。初診時, 頬部を中心に直径5mm以下の正常皮膚色の硬い丘疹を多発性に認めた。病理組織学的には真皮上および中層に好酸性の骨組織を認め, 骨質には明るい胞体を持った骨細胞が多数見られた。先行病変を認めないため, 原発性皮膚骨腫と診断し, 治療は丘疹に小切開を加えた後, 面庖圧出器を用いて種々の大きさの骨腫を可能な限り摘出した。
  • 土井 久生, 榎本 詩子, 米林 功二, 伊泊 裕子, 前島 精治, 酒谷 省子, 草壁 秀成, 清金 公裕
    2000 年 42 巻 2 号 p. 208-213
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    69歳女性の額部および1歳3ヵ月女児の右前腕に生じたarteriovenous hemangiomaの2例を報告した。2症例共に増大傾向にあり, 病理組織学的に真皮から皮下組織にかけ大小種々の壁の肥厚した血管の集塊と毛細血管の増生が認められた。エラスチカ・ワンギーソン染色にて弾性線維の発達した動脈様血管としていない静脈様血管が認められた。マッソン・トリクローム染色では, 動脈様血管壁に線維成分と筋成分が入り混じって存在した。症例1は典型的なarteriovenous hemangiomaと考えられ, 症例2では典型的な臨床所見とは異なっていたが病理組織学的にarteriovenous hemangiomaと考えられた。
  • 小川 基美, 黒川 一郎, 楠本 健司, 岡村 明治
    2000 年 42 巻 2 号 p. 214-219
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    小川基美黒川一郎楠本健司岡村明治初診時年齢, 生後1ヵ月, 女児。生下時より左示指の痕跡的な爪甲とDlP関節の拘縮および掌背側のクリーゼの消失と同時に, 右前胸部に手拳大の皮下腫瘍を認めた。左示指のレントゲン像では側面像でY字型形成異常と称される末節骨の二分像と, 正面像で末節骨の先細り像を示した。右胸部腫瘍の病理組織像では, 内部に血球成分を認めず, 一層の内皮で覆われた嚢胞状に拡張した管腔を認めた。より先天性示指爪甲形成不全症 (congenital onychodysplasia of the index finger以下COIF) に胸部嚢胞状リンパ管腫の合併と診断した。また自験例は指節骨癒合症 (以下symphalangism) の範疇にも含まれ, これらの疾患に対する検討が必要と考えた。
  • 小川 基美, 為政 大幾, 井関 宏美, 原田 暁, 二村 省三, 堀尾 武
    2000 年 42 巻 2 号 p. 220-224
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    長期間存在したhidroacanthoma simplexが悪性化したと考えられる2例を報告した。症例1, 86歳, 女性。左臀部の10年来の皮疹が, 数ヵ月前より急速に増大したため受診した。初診時約80×90mmの赤褐色で一部糜燗を伴う腫瘤を認めた。症例2, 80歳, 男性。前額部右側の50年来の皮疹に近医で冷凍療法を施行され急速に増大したため受診した。当科初診時約25×15mmの茶褐色で一部糜燗を伴う腫瘤を認めた。病理組織学的にはいずれも腫瘤中央部では, 表皮内に異型性を示す細胞からなる腫瘍胞巣が認められた。腫瘍胞巣は) 部基底膜を破り真皮へ浸潤していた。腫瘤辺縁部では腫瘍胞巣は基底膜に囲まれ細胞の異型性はなかった。汗腺腫瘍は段階的な癌化過程を経て悪性化し, 臨床的悪性度が病理学的悪性度と) 致することが知られており自験例はその典型例と考えられた。
  • 外傷性瘢痕より生じ頭蓋内浸潤をきたしていた1例
    上田 素子, 栗田 佳和, 岡崎 芳子, 真下 伸一
    2000 年 42 巻 2 号 p. 225-229
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/11/30
    ジャーナル フリー
    58歳女性。6歳時, 祭り櫓より転落して, 頭部を受傷し, 瘢痕性の脱毛を形成した。32歳頃より痕部に時々びらんが形成された。初診6か月前より同部に腫瘤を形成し, 徐々に増大したため当科を受診した。初診時, 頭頂部から後頭部にかけて瘢痕性脱毛とその癌痕上に腫瘤を認めた。生検で有棘細胞癌と診断した。MRlで頭蓋内浸潤の像を認めたが, 転移の所見は認めなかった。手術に伴うリスクを考慮して外科的治療を断念し, 放射線単独治療を施行した。総量80Gyの電子線照射により, 腫瘍は消失し, 6か月経過した現在も再発はみられておらず, CR基準を満たした。
    (皮膚, 42: 225-229, 2000)
  • 黒川 一郎, 山本 美由紀, 西田 道弘, 楠本 健司, 岡村 明治
    2000 年 42 巻 2 号 p. 230-233
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    84歳, 女性の外陰部に生じ, 電子線治療が奏効した巨大基底細胞癌の1例を報告した。既往歴に両膝の変形性関節症。初診の4-5年前より左側外陰部に疣状腫瘤に気づき, 次第に増大し, 潰瘍を形成した。左鼠径部から左外陰部にかけて直径7cm大の中央より出血をともなう巨大な潰瘍性局面を認めた。皮膚生検で充実型基底細胞癌と診断した。入院にて6MeVリニアック電子線治療 (計60Gy照射) を行った。その後, 腫瘤は縮小し, 一部に瘻孔と瘢痕が残るが, 腫瘍の再発はなく, 経過は良好である。自験例のように年齢, 部位, 手術の侵襲, 術後障害などのリスクファクターがある場合, 基底細胞癌の治療として電子線治療は有用な選択すべき治療法と考えられた。
  • 足立 準, 毛利 有希, 庄田 裕紀子, 羽白 誠
    2000 年 42 巻 2 号 p. 234-238
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    皮膚転移巣が診断の契機となり, 原発巣が発見された2例を経験したので報告する. 症例1は71歳, 男性. 初診の5ヵ月前より咳が出現していた. その後, 左側頭部に赤色腫瘤がみられ, 徐々に大きくなり痛みも伴うようになり, 当科紹介となった. 生検の結果, 転移性腺癌であり, 全身検査を施行した. その結果, 肺癌が原発巣と考えられた. 症例2は66歳, 男性. 初診の3ヵ月前より, 腹壁に硬いしこりを自覚するようになった. 徐々に大きくなるため, 当科紹介となった. 体重減少が約半年間に10kgみられた. 生検の結果, 転移性腺癌であり, 全身検査を施行した. その結果, 胆管細胞癌が原発巣と考えられた.
  • 上田 清隆, 東 禹彦, 久米 昭廣, 藤本 美穂, 日野 奈保子, 古川 佳央
    2000 年 42 巻 2 号 p. 239-245
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    高齢者の顔面に巨大腫瘤を生じた, B細胞リンパ腫の2例を報告した. 症例1は83歳女性. 左眼窩部に径約8cmの腫瘤が存在し, 諸検査および経過より皮膚原発と考えた. 電子線による治療を開始したが, 全身状態の悪化および感染症を併発して, 治療開始後83日目に死亡した. 症例2は97歳女性. 右頬部に中央が潰瘍化した径約7cmの腫瘤が存在した. 発熱, 体重減少, 表在リンパ節腫脹を認め, また末梢白血球の約9割がCD19陽性リンパ球であった. THP-COP療法を試みたが, 全身状態の悪化および感染症 を併発して, 治療開始後19日目に死亡した. 高齢者に対する治療方針にはまだ一定の見解がなく, conservative な治療法を含めた治療マニュアルの作成が必要である.
  • 林 義明, 夏秋 優, 佐藤 誠紀, 喜多野 征夫
    2000 年 42 巻 2 号 p. 246-251
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    77歳, 男性. 約1年前より, 左第1趾腹側に1円玉大ほどの黒色皮疹が出現した. 約半年後, その内側縁の淡褐色斑に気付き, 平成6年3月当科を受診した. 悪性黒色腫の診断にて, 同年3月末に左第1趾離断術及び左鼠径部リンパ節生検を施行した. 左鼠径部リンパ節生検では腫瘍細胞は確認されなかったが, 平成7年5月, 左鼠径部に転移を認めたため, 左鼠径部リンパ節廓清術を施行した. インターフェロンβを併用した化学療法を8クール施行し経過観察中であったが, 平成8年3月末ごろより前額部に白斑が出現し, 徐々に左鼠径部, 下顎部にも拡大してきた. 患者は初診から約5年経過した現在も遠隔転移を認めず健在である.
  • 溝口 将之, 矢口 均, 小川 秀興
    2000 年 42 巻 2 号 p. 252-258
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    57歳女性. 1997年10月頃より, 前額部に粟粒大の隆起性小結節が出現し始め, 次第に両手背, 前胸部, 腹部にも同様の皮疹を生じ, 手指, 膝の関節痛を伴うようになった. 組織学的にmulticentric reticulohistiocytosisと診断され, prednisolone 10mg/日投与されるも症状の改善を認めなかった. 我々は, 本患者に対しprednisolone 10mg/日に加えDDS75mg/日の併用を試みたところ, 皮疹および関節痛はすみやかに改善傾向を示し, 投与開始後9ヵ月を経過した現在も良好にコントロールされている. DDSは本疾患に対し試みる価値のある薬剤であると考えられた.
  • 斧山 淳子, 中川 浩一, 前川 直輝, 石井 正光
    2000 年 42 巻 2 号 p. 259-263
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    23歳, 女性. ガソリンにより熱傷を受傷した. 受傷面積はSDB・DDB10%, DB80%で, Burn Indexは85, PBIは108であった. 減張切開を行った後, 4回にわたってデブリードマンと皮膚移植をおこなった. 皮膚移植には自家皮膚と, 近畿スキンバンクから供与を受けた, 保存同種皮膚を用いた. 熱傷創部の感染症に対して, 血液検査・培養等のモニタリングを行い, 各種の抗菌剤を投与した. 受傷後62日目に敗血症・多臓器不全に伴う血圧低下により死亡した. また壊死組織の培養の結果, Muoor indicusが検出された.
  • 中村 正, 佐藤 広隆, 芋川 玄爾, 宮地 良樹
    2000 年 42 巻 2 号 p. 264-269
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    アトピックドライスキンに対するスキンケア剤使用の有用性を検討するために, 洗浄剤, クリーム及び入浴剤を用いて使用試験を行った. その結果, 角質層セラミド量の増加による皮膚バリア機能の回復が認められた. また, 試験前後の肌状態を観察した結果, ほとんどの症例において乾燥の改善が見られるなど多くの被験者で肌状態の改善が認められ, 高い有用性を示すことがわかった. また, 本試験品に起因する副作用は認められなかった.
    以上より, 本スキンケア剤は, 日常のスキンケアにおいてアトピックドライスキンの皮膚機能を回復し, 症状の緩和及び悪化防止に有用であることが明らかとなった.
  • 原田 敬之
    2000 年 42 巻 2 号 p. 270-275
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    顔面に老人性色素斑を有する者18名を対象に, コウジ酸および油溶性甘草エキス配合の美白外用剤の使用試験を行なった. その結果, 全般改善度は試験終了時の外用16週間で「やや改善」以上14例 (77.8%), 「不変」4例 (22.2%) で悪化する症例はなかった. 外用時に若干の刺激を訴える者もいたが, 試験の継続は可能であり, 副作用として特に重大な症例も見られなかった. 最終的な有用性は「やや有用」以上83.3%(18例中15例) で, コウジ酸および油溶性甘草エキスを配合した美白外用剤は, 老人性色素斑に対して安全かつ有用な外用剤と考えられた.
  • 大阪AD研究会
    2000 年 42 巻 2 号 p. 276-284
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    オキサトミドによる治療効果がアトピー性皮膚炎患者の治療前のIgE値によって差異があるか否かを調査するために, 治療前のIgE値により3群に層別して検討した. また, アトピー性皮膚炎患者の重症度と非特異的lgE, 末梢血中のLDH, 好酸球との関係も調査した. その結果, オキサトミドはlgE値に関係なく自覚症状, 皮膚所見を早期に改善した. オキサトミド投与前後でlgE, 好酸球, LDHは変化しなかった. また, オキサトミドによる治療前のアトピー性皮膚炎の重症度とlgE, 好酸球, LDHとの関係は一様ではないことが示された.
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