埼玉県立自然の博物館研究報告
Online ISSN : 2433-8508
Print ISSN : 1881-8528
原著論文
ヤマコウモリ (Nyctalus aviator) の日中飛翔における採餌行動の確認と気象条件
大沢 啓子佐藤 顕義勝田 節子大沢 夕志
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2017 年 11 巻 p. 47-54

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抄録

食虫コウモリは通常夜飛翔するが,希に日中飛翔が目撃される.ヤマコウモリの例が多く,春と秋に見られている.埼玉県のヤマコウモリのねぐらにおいて,2012年秋,2013年春,2013年秋,2014年春,2014年秋に,日中の出巣の状況と出巣後の行動を観察した.日中の出巣は3月上旬から4月上旬および10月下旬から11月下旬に見られた.日中飛翔中のフィーディングバズや昆虫を追う行動の確認,糞の内容物に昼行性の昆虫が含まれることから,日中飛翔は採餌が目的であると考える.日中飛翔の時期は冬眠前後でコウモリはエネルギーが必要な時期であり,夜間の採餌の不足分を,昆虫の多い日の日中に補っているのではないかと推察した.

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