食虫コウモリは通常夜飛翔するが,希に日中飛翔が目撃される.ヤマコウモリの例が多く,春と秋に見られている.埼玉県のヤマコウモリのねぐらにおいて,2012年秋,2013年春,2013年秋,2014年春,2014年秋に,日中の出巣の状況と出巣後の行動を観察した.日中の出巣は3月上旬から4月上旬および10月下旬から11月下旬に見られた.日中飛翔中のフィーディングバズや昆虫を追う行動の確認,糞の内容物に昼行性の昆虫が含まれることから,日中飛翔は採餌が目的であると考える.日中飛翔の時期は冬眠前後でコウモリはエネルギーが必要な時期であり,夜間の採餌の不足分を,昆虫の多い日の日中に補っているのではないかと推察した.