埼玉県立自然の博物館研究報告
Online ISSN : 2433-8508
Print ISSN : 1881-8528
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原著論文
  • 高木 秀雄, 廣瀬 智美
    2020 年 14 巻 p. 1-10
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/07
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    ジオパーク秩父が2018年7月に改定した新しいジオサイト34ヶ所および幾つかの重要なジオサイトについて,教育的価値,科学的価値,観光価値,安全性とアクセス,保護保全とサイトの持続可能性,情報の整備状況,の6つの主要な価値基準から18項目について4段階評価を実施した.本論ではその結果をもとに,各ジオサイトの重要性や位置付け,今後の課題をまとめて,今後のジオツーリズムの活用に結びつけることを目的としている.その結果,評価の低かったジオサイトの統廃合と,重要なジオサイトの追加を提案する.
  • 山本 将也, 平 誠
    2020 年 14 巻 p. 11-16
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/07
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    コイワザクラPrimula reinii(サクラソウ科)は急峻な山岳地帯の湿った岩場に生育する日本固有種である.種内は4変種に分類されていて,そのうち狭義コイワザクラ(var. reinii),チチブイワザクラ(var. rhodotricha),クモイコザクラ(var. kitadakensis)が埼玉県の秩父山地に自生している.しかしながら,両神山に自生している集団については様々な分類学的見解があり,形態的特徴からどの変種に当たるかを判断することが困難であった.そこで本研究では,両神山に生育するコイワザクラの分類上の位置付けを明らかにするために葉緑体DNAを用いた分子系統解析を行なった.系統解析の結果,両神山のコイワザクラは狭義コイワザクラの系統に含まれることが明確に示された.本研究は,絶滅危惧種であるコイワザクラの保護に関する今後の研究に貴重なデータを提供するものと思われる.
  • 岩田 泰幸, 冨樫 和孝, 岩田 朋文
    2020 年 14 巻 p. 17-24
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/07
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    ミズスマシGyrinus japonicusは,環境省版レッドデータブック2014では絶滅危惧II類に,埼玉県レッドデータブック動物編2018(第4版)では絶滅危惧IA類に,2018山梨県レッドデータブックでは準絶滅危惧にそれぞれ選定されており,近年急激に減少している.本種について,埼玉県と山梨県の低山帯から山地帯で調査を行った.今回の調査により,ミズスマシの生息環境は以下の特徴を有することが明らかになった:1)河川の滞留域に形成されたD型およびR型の淵を主な生息地とすること,2)淵は主に周囲を樹林に囲まれた場所にあること,3)淵の水面は枝や水草でほとんど覆われないこと,4)水質は透明度が高く,貧栄養であること,5)同所では流水域に生息する種(例えば,オナガミズスマシOrectochilus regimbarti,モンキマメゲンゴロウPlatambus pictipennis,マルガムシHydrocassis lacustris,シマアメンボMetrocoris histrio),あるいは林に囲まれたような日当たりのよくない水域に生息する種(例えば,コセアカアメンボGerris gracilicornis,ヤスマツアメンボG. insularis,オオアメンボAquarius elongatus)がみられること.また,埼玉県のミズスマシの地域個体群は,2000~2010年頃には低山帯にある前述の特徴をもつ河川の淵などに孤立していたことが示唆された.これらの個体群は水量の減少といった河川環境の変化により絶滅したと考えられる.
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