埼玉県立自然の博物館研究報告
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原著論文
  • 北川 博道
    2019 年 13 巻 p. 1-12
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/14
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    秩父盆地より産出したPaleoparadoxia tabatai 3標本,大野原標本,般若標本,そして三山標本の骨端閉鎖段階と大きさの比較を行ったところ,これらはは,大小2型に分けられた.また,他地域産出標本も加えて検討したところ,岐阜県土岐市産出の泉標本と大野原標本・般若標本と同じ大型,岡山県津山市産出の津山標本と三山標本が小型に分けられた.骨端閉鎖段階の比較の結果,大型の標本は比較的若い時から大型であり,小型の標本はよく成長した標本も小型であった.大型のものをオス,小型のものをメスと考えると,大型の大野原標本,泉標本,般若標本はオス,三山標本や津山標本はメスと考えられる.大型の3標本の成長段階はそれぞれ異なっているが,その大きさは非常に近い.大野原標本は第3大臼歯が未萌出であり,3標本中で最も若い個体である.このことから,P. tabataiの長軸方向への明らかな成長は,第3大臼歯が萌出する前に止まると考えられる.
  • 井上 素子
    2019 年 13 巻 p. 13-20
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/14
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    国会議事堂に使用される蛇紋岩石材の産地は,従来皆野町三沢とされていたが,新たに秩父市黒谷字下山の産地を特定した.採掘場土地所有者の遺族の証言および保管文書から,昭和4年1月に蛇紋岩の採掘を開始し,以降2年間で約8m2の蛇紋岩石材を出荷していたことが明らかとなった.蛇紋岩を使用した国会議事堂内装工事は昭和4(1929)年3月に開始されており,下山地区の採掘時期と一致する.
  • 武藤 俊
    2019 年 13 巻 p. 21-32
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/14
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    ジュラ紀付加コンプレックスを主体とする南部秩父帯中津川層群両神ユニットが分布する秩父市大滝茂萩山周辺の地質図を作成した.調査地域の岩相は砂岩と砂岩・泥岩の破断相・混在相が大部分を占め,石灰岩,チャートの岩体や,泥質基質に砂岩,石灰岩,チャート,玄武岩類を含む混在岩を伴う.茂萩山に見られる石灰岩(茂萩山石灰岩)は北西−南東方向に約3 km伸長し,厚さは最大約300 mあり,従来知られていた両神ユニットの石灰岩岩体より大規模である.調査地域の地質構造は北西-南東方向の走向と高角北傾斜が卓越する.茂萩山石灰岩は周縁部に玄武岩類と石灰岩のみからなる混在岩を伴い,これは海山の玄武岩類と石灰岩の接触部が混在化してできたと考えられる.
  • 小川 滋之
    2019 年 13 巻 p. 33-38
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/14
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    奥武蔵,蕨山山頂付近にみられるヤエガワカンバ小林分の樹種組成を報告するとともに,小林分の成因について考察した.小林分は,山頂平坦面においてヤエガワカンバとこの地域の落葉広葉樹林の主要な構成種となるミズナラの幼齢樹が中心となるが,リョウブやアオハダなどの亜高木性樹木も多くみられた.現存する小林分は,1970年以前の人為的な伐採に起源があり,落葉広葉樹林の再生途上にいち早くヤエガワカンバが侵入したことによって形成された.さらに山頂平坦面に位置しているため,地表面の攪乱による根返りや風倒なども影響を及ぼしていると考えられた.
  • 岩田 泰幸, 岩田 朋文
    2019 年 13 巻 p. 39-46
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/14
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    ヤマガタトビイロトビケラ幼虫について,埼玉県内の荒川水系(上流から中流)で調査を実施した.本種は本州中部の山地帯においては普通種であり,その幼虫は晩秋から初夏にかけて河川の淵で多数見つかることが知られる.本報告では,埼玉県内における本種の追加記録を公表し,県内の本種の生息環境を主に河川形態に基づいて記載した.本種の生息環境と多くの個体が見つかった場所の特徴は,次の4つとなる:1)河川形態は一蛇行区間に複数の瀬と淵をもつAa型である,2)階段状の淵(S型の淵)を有する,3)淵には落ち葉など枯死植物体が多く積もる,4)特に淵の縁部に多くの個体が見られる.その一方で,ヤマガタトビイロトビケラに近縁なNothopsyche sp. NAの幼虫は,前者とは異なり,中流域の主に河川形態がBb型のところにおいて,R型あるいはM型の淵に繁茂する抽水植物(ヨシなど)の流水で洗われた根際から多くの個体が得られた.
  • 末吉 昌宏, 原 勝司
    2019 年 13 巻 p. 47-60
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/14
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    埼玉県産ミバエ科昆虫の種多様性を分類学,生物地理学,群集組成に基づいて明らかにした.新たに検討した426個体の標本を54種に分類し,過去の記録と合わせて埼玉県から63種の分布を確認した.この過程で,17種を埼玉県から新たに記録した.隣接する東京都,山梨県,群馬県産のミバエ科昆虫と合わせると,関東山地におよそ90種が分布することを明らかにした.AcidellaPhilophylla に属する未同定の2種について分類学的な知見を記した.非計量多次元尺度法による各市町村のミバエ科昆虫群集を比較した結果,平野部の群集の一部が山間部にも共有されていた.平均標高,人口密度,森林面積が異なる各市町村で記録された種数の違いに影響する要因を明らかにするため,パス解析を行った.その結果,山間部の市町村は森林面積が多く,多くの採集者を魅了したことで,より多くの産地と種数が記録されていることが分かった.
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