埼玉医科大学雑誌
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原著
家兎正常腎を用いて各種の腎脱神経処置における腎血流量の変動colored microspheresによる腎血流量測定での検討
三浦 洋靖土田 幸英小山 直基原科 孝雄
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2002 年 29 巻 2 号 p. 109-116

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抄録
目 的
我々は,各種の腎脱神経処置による腎血流動態への影響,および正常腎血流量に回復する時間を研究した.
実験方法
 今回の研究において,日本白色ウサギ雄51羽を用いた.腎血流量測定は,カラーマイクロスフェアー(CMS)法で行った.全身麻酔下で気管切開し挿管し,GOFで維持した.開胸後,左心室に血管留置針を刺入し心筋に固定した.これに三方活栓を接続して一方は左心室圧をモニター,他方はCMS注入用とした.CMSを左心室にワンショットで注入した.屠殺後,手順に従って基準血液と腎臓のCMSを回収し,公式により腎血流量を計算した.
 基礎研究から,CMS直径15μmは,糸球体毛細血管内に貯留していることを組織学的確認したので,本法は糸球体局所血流量を測定している.次に,正常腎血流量に左右差なかったので各兎において右腎臓をコントロール群,左腎臓を実験群として使用した.
 開腹後左腎臓へ走行する交感神経を顕微鏡下に切断し,下記のように実験を4群に分類した.
(1)腎虚血群(n=8): 腎交感神経支配のモデルとして,左腎動脈を10分間マイクロクリップでクランプすることによって作製した.
(2)腎動脈端端吻合群(n=10): 左腎動脈を切断し血管吻合器(口径1.5 mm)で端端吻合を行った.
(3)腎静脈端端吻合群(n=10): 左腎静脈を切断し血管吻合器(口径2 mm)で端端吻合を行った.
(4)腎交感神経切断群(n=8): 左腎動脈外膜を顕微鏡下で剥離した.         
 腎血流量測定: 腎動脈流を10分間遮断して,再灌流5分後に青色CMS,再灌流35分後に黄色CMSで左右腎血流量を測定した.
統計学的分析
 数値を平均値±標準誤差で表示した.正常腎血流量を100%とし実験群腎血流量を百分率で表示した.数値を分散分析で検定しp<0.05以下を有意差ありとした.
研究結果
(1) 腎虚血における腎血流量(RBF): 再灌流5分後の腎血流量は,正常RBFの146.2±9.4%まで増加した(p=0.0018).再灌流35分後では,腎血流量は正常値に回復した(NSD).
(2) 腎動脈端端吻合における腎血流量: 再灌流5分後の腎血流量は,正常RBFの53.6±6.7%まで減少した(p<0.0001).再灌流35 分後では,腎血流量は正常値に回復した(NSD).
(3) 腎静脈端端吻合における腎血流量: 再灌流5分後の腎血流量は,正常RBFの81.5±10.5%まで減少した(NSD).再灌流35分後では,101.5±10.1%と正常値に回復した.再灌流後の腎血流量は,腎動脈端端吻合群の腎血流量と同じ経過を示したが有意差はなかった.
(4) 腎交感神経切断: 再灌流5分後の腎血流量は,正常RBFの64.7±12.5 %まで減少した(p<0.0001).再灌流35分後では,腎血流量は正常値に回復した(NSD).
結 論
 腎血流量は,腎動脈切断と腎交感神経切断による腎脱神経で一過性に障害され,再灌流35分以内に正常腎血流量に回復した.腎脱神経における初期の腎血行動態は,腎交感神経よりも腎自己調節機構により強く支配されていることが今回の研究から示唆された.
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2002 埼玉医科大学 医学会
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