埼玉医科大学雑誌
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症例報告
  • 矢野 孝明, 水田 桂子, 漆原 康子, 是松 聖悟, 水島 喜隆, 荒川 ゆうき, 康 勝好, 森脇 浩一
    2025 年52 巻1 号 p. 1-5
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
     症例は既往歴に特記事項のない 2 歳 9 か月男児.入院 1 か月前より 1 週間の周期で 2 日発熱し,その後自然解熱することを 4 回反復していた.1 日前から右膝痛および股関節痛が出現したため,紹介入院となった.家族歴として母に全身性エリテマトーデスの罹患歴があった.発熱のパターンが規則的な周期性発熱および関節痛を認めたため,周期性発熱症候群として自己炎症性疾患を主な鑑別に挙げ,その他リウマチ疾患などを考慮した各種検査を実施した.CRP も高値であったが,抗菌薬治療へはあまり反応しなかった.腹部 CT で判明した後腹膜の巨大腫瘤から,骨転移を伴う神経芽腫の診断に至った.周期性発熱症候群は,比較的近年提唱された疾患概念で,自己炎症性疾患の中で特徴的な発熱の反復を示すものである.その一方,規則的な発熱パターンを示していても自己炎症性疾患とは限らないことを示唆する症例であった.一般的な不明熱と同様に初期から腫瘍も鑑別に挙げてスクリーニング検査として胸部 X 線検査に加え腹部超音波検査を施行していれば早く診断できていた可能性がある.小児の周期性発熱はパターンが規則的であっても鑑別診断に神経芽腫を含む悪性腫瘍があることを認識する必要がある.
  • 横山 香, 桑原 斉
    2025 年52 巻1 号 p. 6-10
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
      小児のアルコール使用症の病態や経過は,その国の社会的・文化的背景によってかなり異なると考えられており,その社会的・文化的背景は,家族,仲間との関係,併存する精神疾患などの要因を含めて複雑である.小児のアルコール使用症に対するエビデンスに基づく標準的な治療はある程度確立されているが,実際の運用は国によって異なり,国内の治療の実態は不詳である.
      本症例は小学校 6 年生のときから飲酒が認められていたが,積極的な介入がないままに飲酒を続け,中学校 3 年生のときに不眠を主訴に初めて精神科を受診し,幻覚と被害関係妄想が認められたことから統合失調症と診断された.抗精神病薬による治療では幻覚と被害関係妄想は改善しなかったが,精神科病棟に入院した際に飲酒を中止し幻覚と被害関係妄想が改善した.経過からアルコール使用症と診断されたが,一般に成人のアルコール使用症の治療に利用できる社会資源(集団精神療法)を利用することは難しく,退院後も飲酒行動は持続し,アルコール離脱による痙攣発作が出現し 2 回目の入院となった.2 回目の入院では家族療法を導入し,アルコール使用症は改善した.
      このような症例を 1 例の報告であっても学術的に蓄積し,国内における小児のアルコール依存症の治療法を検討することには価値があるだろうと考えた.
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