抄録
埼玉医大方式完全植え込み型人工心臓(以下STAH)の開発を目指し,その基礎モデルの開発と実効性を評価した.STAHは縦隔内に植え込まれる血液ポンプ部と腹腔内へ置かれる駆動部の2つによって構成される.血液ポンプ部は植え込みが容易な形状を持つプッシャープレートタイプであり,MRIデータを基に再現された胸郭モデルでは良好な解剖学的適合性を示した.駆動は血液ポンプ部内に組み込まれたカムを外部の駆動部により柔軟性を持った駆動ワイヤーを介して行う.模擬循環回路では最大4.6 L/min の流量を出す事が可能であった.実際の応用までには改善が必要であるが,本研究に置ける基礎モデルはこのSTAHが充分に実用化に耐え得る考想であることを証明したと考える.