抄録
79歳女性.左水腎症及び長径8.3 cm の左骨盤腫瘤が偶然発見され紹介受診した.尿沈渣で異形細胞を認めたが,膀胱内視鏡検査及び尿細胞診検査で異常を認めなかった.全身拡散強調MRI(DWIBS: diffusion-weighted whole body imaging with background suppression)で左骨盤腫瘍と傍大動静脈・両側総腸骨・正中仙骨リンパ節転移を認め,左尿管癌cT4N2M0と診断した.集学的治療を行い,治療効果はDWIBSでモニターする方針とした.ゲムシタビン・カルボプラチン療法による導入治療3サイクルで原発巣・リンパ節転移ともに部分奏効(PR)が得られ,7サイクルで原発巣はPRのままであったがリンパ節が完全奏効(CR)したため,左腎尿管全摘・左後腹膜リンパ節郭清術を施行した.病理学的には,原発巣の尿管外へ浸潤した部位に残存腫瘍を認めたが,郭清したリンパ節に癌を認めず,DWIBSでの可視病変は完全に切除したと考えられた.しかし術後3ヶ月のDWIBS で傍大動脈・左内腸骨リンパ節に再発を認めたため,大動脈周囲および骨盤領域に54 Gyの救済照射を施行し,引き続きペムブロリズマブを開始した.4サイクルで再発リンパ節がCRとなり,現在計26サイクルを施行し19ヶ月間CRを継続している.DWIBSによる精密な病勢モニターに基づき治療のタイミングを最適化させ,放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬とを併用することで,進行上部尿路上皮癌の予後の改善が期待される.