兵庫県南部地震での住宅の全壊は11万戸以上に及び, 6400人にも及ぶ死者と4万人以上の負傷者を出した. 兵庫県内の死者5,480人のうち家屋・家具類等の倒壊による圧迫が4,823人で全体の88%を占め, 倒壊した家屋の大部分は老朽化した木造家屋であり, 倒壊しやすくなっていたものと思われる. しかし, 事前の耐震対策の必要性を, 実際に被害を被った当事者側が十分に知りえたかどうか, すなわち, 自分の家がどのように壊れ, そして家屋内にとどまっていた場合にはどのような形で負傷するのかという情報を十分に知りえたかどうかは疑問が残るところである. 本論文では, 地震時に木造建物がどのような挙動をするのか, またその建物が倒壊することによって人的被害がどのように発生するのかを視覚的かつ定量的にわかりやすく提示するための方法論について述べる.