抄録
木造住宅の耐震化に関して,全国の多くの市町村が施策を実施してきたが,期待通りに耐震化が進んでいる例は少ない.本研究では,大阪府内の7市における平成18年度以降の施策と,住宅への耐震診断・耐震改修への補助件数の推移とを比較した.そして,各施策がどのような政策効果を持ってきたのかを分析した.その結果,各施策の効果についての,各市の担当者の認識の共通点と相違点とが明らかになった.またその結果を踏まえた定量的分析では,補助対象住宅へのダイレクト・メール送付や市内全戸への回覧板による制度の周知といった啓発策を実施するか否かではなく,その市にとって初めての啓発策を実施したか否かが,耐震診断や耐震改修の補助件数の増加に有意に効いていること等が明らかになった.