防災意識が異なり日本語によるコミュニケーションが困難な外国人は災害時要支援者となる.本研究は,震災発生時における外国人旅行者の避難と,従来の地域防災計画との連携に資する基礎的な知見を得ることを目的とし,東京都区部を対象に震災発生時の初動の避難行動として指定された避難場所への移動を想定し,ガイドブックから得られる情報,GPSロガーを用いて取得された移動軌跡に基づいて,外国人旅行客の行動圏としての実質的な観光エリアを抽出し,避難場所への移動に際しての障害と効率的な避難誘導の可能性を検討した.エリアごとに避難場所割当の構成や避難場所への距離,認識のしやすさが異なるため,外国人旅行客の地理的な理解の範囲で適切な判断をするための情報提供が重要となる.