2015 年 12 巻 p. 95-101
VOCの削減を目的とした一連の政策には,「有害大気汚染物質の自主管理計画」と「自主的取り組みと法規制」の二つが存在する.本研究の目的は,これら二つの政策のどちらに削減の効果があったのかを検証することである.本研究では,分析の際に生じるセレクションバイアスをpropensity score matchingによりコントロールし,自主的取り組みや法規制がVOCの排出量および健康リスクに与える効果を計測することを試みた.そしてVOCの削減量/健康リスクについて,自主管理計画による場合と自主的取り組みと法規制の組み合わせによる場合の比較を行った結果,「有害大気汚染物質の自主管理計画」に参加した企業はVOCの健康リスク削減に成功したことが示された.