日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
自然気胸手術標本から偶然発見された若年者肺癌の1例
吉岡 孝房井上 雄太深見 武史
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2017 年 31 巻 4 号 p. 539-543

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抄録

症例は18歳,男性.2014年6月,左胸部絞扼感を主訴に前医受診し,左自然気胸の診断を受け,当院入院.胸腔鏡下左肺上葉肺囊胞切除を施行し, 術後経過良好にて退院した.切除標本の病理組織学的検査で断端に2 mm大の腺癌が認められ,原発性肺癌(pT1a)と診断した.術前CTで確認すると左肺尖ブラの近傍に4 mm大のすりガラス陰影を認めた.病理組織にて断端陽性であったため,2014年7月,胸腔鏡下左肺上葉追加部分切除を施行した.退院後26ヵ月,再発なく経過観察中である.若年者の気胸症例の切除標本内から偶然発見された肺癌であったが,術前胸部CTで肺野の他病変,少なくとも切除予定線に対する注意深い観察が必要と考えられた.

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