抄録
リスク管理の問題と社会技術の観点から考えるとき, 「不運」にも「確率の小さい」災厄が生じてしまったときの「事後処理」の問題も重要である. それは「不運」である限り, 完全に「合理的な」解決は存在しない. それは「不運の納得できる分配」と考えることに帰着し, 「責任」や「賠償」の問題もその程度から考えられる. そこでは社会的倫理観や, 関係者の関与の性格等を詳しく評価することが必要であるが, 結局「感情問題」を避けることはできない.
同時に「不幸」な事件から, 有益な「教訓」を引き出すことも大切であり, そのためにも「感情問題」を含め適切な「事後処理」の方法が確立されなければならない.