抄録
原子炉等規制法における縦割り型の事業規制枠組みを通じた原子力規制は、その制度的硬直性によって、原子力を取り巻く新しい課題に十分に対応できなくなりつつある。本論文では、具体的な案件等をもとに、現行原子炉等規制法が抱える問題点について、(1) 効率的な規制の実現、及び (2) 規制の実効性確保の二つの視点から分析を加えた。そして、これらの問題点が、原子炉等規制法の規制構造における事業許可制の硬直性と使用許可制の下での各物質利用規制の不徹底に起因することを示し、それを克服するための立法的解決試案を示した。立法的解決試案においては、その基本となる考え方として (1) 包括的な施設許可制及び (2) 物質許可制の導入の必要性を示し、複数の解決試案を示しながらその長短について論じた。