抄録
研究コミュニティの内外を結ぶ媒介組織「サイエンスショップ」は, 市民・企業・行政セクター等が現実の社会問題を解決するために必要とする方策に適用できる技術 (社会技術) を推進する上で有効な制度的装置である. 本稿では, 産学連携を指向した新たなサイエンスショップの登場等デンマークにおけるサイエンスショップの近年の事例を紹介し, その機能を再整理する. その上で, サイエンスショップの意義を社会技術の観点から再考し, 社会技術構築, 社会技術人材育成の二つの意義を同定するとともに, 我が国におけるサイエンスショップ導入のための戦略等社会技術推進上の政策的含意を導く.