2011 年 8 巻 p. 101-110
海外プロジェクトにおいては,施工時のリスク管理が極めて複雑な問題となっている.本研究ではベトナム現地で計3回の研究調査を行い,ベトナムにおけるコンクリート施工リスクの発生確率,損害額,発生要因,低減策並びに型枠支保工の事故発生要因・事故防止対策等を定量的に把握することに注力し,それを基にベトナムで適用できる「コンクリート構造物の施工リスク評価システム」の構築を目的とした.本稿は第1回調査結果に基づきイベントツリー解析法により数ケースのリスクカーブを作成し,リスクカーブの感度を分析すると共に日本とベトナムを比較し,ベトナムにおけるコンクリート施工リスクは全体的に日本より4倍以上であり,特に「鉄筋腐食」の不具合は深刻な問題であることが分かった.