近代中国における「避暑」思想の需要と変容

抄録

　近代における中国のリゾートの成立には、西洋から輸入された「避暑」思想が深く関わっている。そこで、本研究は、近代期の文献研究を通して「避暑」が中国で受容され、変容していった過程を明らかにする。その結果、1）外国人が風土の異なる地に「避暑」を導入し、中国人がそれを模倣することにより受容した、2）避暑地としては、高原や海浜が選ばれ、伝統的な名所旧跡と全く無縁であったこと、3）上流階層中国人は「避暑」を受容し、自らの中国的な伝統文化と融合させ、それを変容させたこと、などを明らかにした。