素粒子論研究
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中性子過剰核^<19>Bのクラスター構造とそれを反映したフラグメント生成機構(軽い核におけるクラスター構造の発達(II),不安定核の構造と反応,研究会報告)
竹本 宏輝堀内 昶小野 章
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2000 年 102 巻 2 号 p. B34-B38

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抄録

B isotopeは中性子数の増加に伴いクラスター構造が発達し、中性子閉殻である^<13>B(中性子数:N=8)は球形に近い構造を持つのに対して、中性子drip line核である^<19>Bはかなり発達したクラスター構造を持つことが理論的に予測されている。そこで、反対称化分子動力学を用いて^<19>B+^<14>Nおよび^<13>B+^<14>N反応の計算を行い、^<19>Bと^<13>Bからのフラグメント生成を比較することにより、^<19>Bのクラスター構造を反映するフラグメント生成機構についての研究を行なった。^<19>Bのクラスター構造を反映したフラグメント生成はHeとLiアイソトープの同時生成により特徴付けられ、HeとLiアイソトープの同時測定により^<19>Bのクラスター構造を実験的に検証することが可能である。さらに、この^<19>Bのクラスター構造を反映したHeおよびLiアイソトープへの同時崩壊の入射エネルギー依存性を調べ、クラスター構造を反映したフラグメント生成機構は高エネルギー領域では見られず、低エネルギー領域において現れることを確かめた。この入射エネルギー依存性は^<19>Bのクラスター崩壊が標的核からの平均場の効果により引き起こされることから理解される。

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© 2000 著者
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