素粒子論研究
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クォーク模型から導出したYN相互作用の非局所的な性質について(基研2001年度後期研究会「ストレンジネス核物理最前線」,研究会報告)
竹内 幸子清水 清孝
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2002 年 106 巻 2 号 p. B52-B56

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抄録

この研究は、クォーククラスター模型(QCM)から導出される近距離での斥力芯の性質について、逆散乱問題を応用して調べたものである。特に注目した系は、NN^1S_0とΣN(T=3/2)^3S_1である。QCMの2核子系の位相差を再現するような局所ポテンシャルは短距離部分に強い斥力を持つ。しかし、非局所ポテンシャルが高エネルギー領域で弱まることを反映して、非常に短距離には引力が現れる。ほとんど禁止される状態があるΣN(T=3/2)^3S_1では、この傾向はより顕著である。更に、クォーク間相互作用の各項の寄与を別々に調べた。NN^1S_0チャネルでは、近距離の斥力芯はクォーク間相互作用の核子とデルタ粒子の質量差を導く項に起因し、ΣN(T=3/2)^3S_1チャネルでは、クォーク間に働くPauli-blockingの効果に起因することが明らかになり、後者の系では特に非局所性が重要であることがわかった。

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© 2002 著者
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