抄録
最近、3+1次元z=3 Horava-Lifshitz重力理論が注目を浴びている。この理論の特筆すべき特徴は、(power-countingの意味で)繰り込み可能であること、もう一つは、長距離スケールではアインシュタインの重力理論に一致するが、短距離では空間と時間が非等方なスケーリングを持つ非相対論的な重力理論となっている点である。空間と時間の非等方性はdynamical critical exponent zで特徴付けられ、短距離スケールではz=3と非等方性は非常に大きいが、長距離ではz=1となりそこでは等方性が回復しローレンツ対称性がemergent symmetryとして現れる。つまり、相対論的不変性は低エネルギーで偶然現れたaccidental symmetryであると解釈される。本講演では、Horavaの理論の背景にある様々なアイデアや物理的背景、および、理論構造について詳しく論ずる。