素粒子論研究
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電磁力学に於ける一つの不変性とレプトン崩壊に於ける中性電流の禁止
伊藤 大介
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1962 年 26 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

§1では電磁相互作用系の電流J_μにJ_μ→J_μ+∂_μφなる変換を行っても系の性質は不変に保たれることを示す。但しφ(X)はφ(±∞)=0である以外は全く任意の実函数(C-数)である。Neutrino Pairは電磁場と似ていると云われているが、§2ではμ-e崩壊のLagrangian ℓ^2[μ^^-γ_μ(1+γ_5)ν_μ][ν^^-_eγ_μ(1+γ_5)e]+h.c.をFierz変換によってℓ&2[μ^^-γ_μ(1+γ_5)e]・・[ν^^-_eγ_μ(1+γ_5)ν_μ]+h.c.とかいた上で、電磁相互作用と比較する。gauge変換に対応して、形式的に[ν^^-γ_μ(1+γ_5)ν]→[ν^^-γ_μ(1+γ_5)ν]+∂_μΛを行っても、中性電流J'_μ≡ℓ^2[μ^^-γ_μ(1+γ_5)e]は連続方程式∂_μJ'_μ=0を満たさないので、この相互作用は不変に保たれぬが、この場合にも変換J'_μ→J'_μ+∂_μφに対してμ-e相互作用は不変に保たれる。§3では、この不変性を一般化し、あらゆるLepton崩壊が中性電流に関する上の変換に対して不変なるべきことを要求すれば、π^0→μ^±+e^∓,K^0→μ^±+e^∓,K^+→π^++e^±+μ^∓,Σ^+→p+μ^±+e^∓ etc.観測されていない過程を禁止することが出来ることについて述べる。

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© 1962 著者
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