1964 年 28 巻 6 号 p. 500-509
μ中間子のビームが物質の中に入ると、μ中間子は、物質中の原子と相互作用を行い、イオン化作用により減速を受ける。イオン化エネルギーに満たないエネルギーとなると、後は弾性散乱を行つて原子の間の移動する。このようにしている間に、原子核のCoulombにより束縛され、束縛μ中間子となるのであるが、この束縛μ中間子の性質から、μ中間子のいろいろな性質が確認されてきたし、又、原子核の性質の現れている現象も沢山見つけられている。ここでは主に、原子核の性質を代弁している点を探り、それがどのような面に表われているか、著者の知る限りで述べてみたい。