素粒子論研究
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Dual Ginzburg-Landau理論によるスピン依存バリオンポテンシャル(QCDとハドロン物理の新展開,研究会報告)
矢澤 建明松原 克己鈴木 恒雄
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1997 年 94 巻 6 号 p. F104-F107

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抄録

第一原理であるQCDからハドロンの世界を記述することは大変に重要なことであり、その手法としてLatticeによるMonte Carlo SimulationやQCD sum ruleなど様々な方法があるが、いずれもQCDの閉じ込めのメカニズムの解明にせまるものではない。そのような中で、QCD真空がmonopoleの凝縮した相であるという仮定で成り立つ、QCD低エネルギー有効理論のdual Ginzburg-Landau theory (DGL)は、dual Meissner効果から閉じ込めがnaiveに理解でき、解析的なアプローチからも、運動方程式の数値的解析からも定性的なQCDの閉じ込め現象をうまく示していてる。これまでに、DGLを使ったクォーク間の静的ポテンシャルはすでに計算されていて、string tensionなどの物理量も実験やLatticeの結果とconsistentなものとなっている。しかし、現実のハドロンスペクトラム等の解析には静的なポテンシャルだけでなく、スピン・軌道角運動量に依存したポテンシャルが必要とされる。数年前、BakerらがDGL理論とよく似た有効理論をもとにクォーク2体のスピン・軌道角運動量依存ポテンシャルを運動方程式の数値計算より求めた。しかし、バリオンを示すクォーク3体状態の計算のための拡張は行われなかった。この研究発表では、DGL理論を使い、クォーク3体のスピン依存ポテンシャルを求めようというものである。

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© 1997 著者
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