抄録
日本で唯一の法的に実施が定められたウェブアーカイブである、国立国会図書館による「ネットワーク系電子出版物の制度的収集事業(通称 WARP)」がどのような議論を経て形成されたのかを論じた。国立国会図書館の納本制度調査会/審議会の議事録から、議論を整理した。第一に、ウェブアーカイブを既存の納本制度の枠組みの中に入れるか/新たな制度を外側に設けるかが議論の中心となり、新たな枠組みを設けることが決まったことを明らかにした。第二に、公的機関/民間を問わない包括的なウェブアーカイブ事業の形成も視野には入っていたが、2000 年代初頭の議論の中で「公的機関」のみを制度的収集の対象とすることが決まったことを明らかにした。