測地学会誌
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日本の準拠楕円体と衛星追跡から得られた地球楕円体との関係
原田 健久
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1972 年 18 巻 4 号 p. 191-193

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抄録
 (1)準拠楕円体の形と大きさは偏平率fと長半径aで決まる. (2)準拠楕円体と地球との向きの関係は,準拠楕円体の回転軸と零度子午面を地軸(1900-1905のmean poleの方向)と天文零度子午面とにそれぞれ平行にすることで決まる. (3)この準拠楕円体を平行移動させて,測地原点座標(経度λ0,緯度ψ;O,高さh0)で示される点を現実の測地原点と一致させれば,準拠楕円体と地球との最終的な関係が決まる. (2)の条件は測地網の中にある多くのLaplace点でLaplace条件がより良く満足されるようにすることによって達成される.そのような手段によって決められた測地原方位角にも,そのもとになった天文方位角の観測がnon errorでない限り幾分かのerrorが残る.このerrorが(2)の条件を擾乱する. (2)の条件が満足されていないと,準拠楕円体の変換に伴う測地座標の変換には座標軸の回転がはいる. (2)の条件は満たされているとして,2つの異なる準拠楕円体A,Bを考えれば,Aの中心とBの中心を通る直交座標軸は平行である.そして現実の測地原点に対しては2組の測地座標(λ0A, ψ0A,h0AまたはX0A,Y0A,Z0A)(λ0B, ψ0B,h0BまたはX0B,Y0B,Z0B)がある. ΔX0=X0B-X0A, ΔY0=Y0B-Y0A, ΔZ0=Z0B-Z0AはA直交座標からB直交座標への平行移動量に他ならない.この量はまた任意の地点におけるAとB両直交座標の差でもある.従つて( Δλ0, Δψ0, Δh0)または(ΔXi, ΔYi, ΔZi)が既知なら任意の点の(λiA, ψiA,hiA)を(λiA, ψiA,hiA) →(XiA,YiA,ZiA) →(XiA+ ΔX0=XiB, … ) →(λiBiB,hiB)の順序でB測地座標に厳密に変換できる. 今回,各計算を12桁精度で行なう実用的にはnon-errorのプログラミングを完成した.どうぞ御利用下さい. 地球の大きさに関する知識の前進と世界にばらまかれている15ヶめBaker Nunnカメラによる人工衛星の観測から,より良い地球楕円体とその楕円体に基いたBaker Nunnカメラの位置が見出されつつある.[2].この世界測地座標系と日本測地座標系は三鷹のBaker Nunnを仲介にして関係づけられている.著者の以前の研究によれば,我hが現在公式に使用している日本測地座標系には殆ど原方位誤差がない.[1].各種の世界楕円体に対する ΔX, ΔY, ΔZが与えられれば上述のプログラムにより原点座標に加えるべき修正値を見出すことができる.表はその値である.Δλ0, Δψ0がほぼ一定値に収歛しているのに対して Δhgo。(原点における準拠楕円体表面からgeoidまでの高さ,現在のhgoは零)は決まりにくい量のようである.
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