1984 年 30 巻 2 号 p. 122-130
垂直,S38°W,S52°Eの3つの互に直交する方向の地殻の伸びの観測を旧逢坂山トンネルの中で1960年頃から続けている.これらの観測した3つの伸びを加え合せて体積ひずみを求めた. 体積ひずみの永年変化はそれぞれの伸びひずみより非常に小さかった.しかし,年々の体積ひずみの平均(標準)の永年変化からの偏差は伸びひずみのそれぞれの年々の変化と同様に大きかった. 体積ひずみの年々の偏差と京都市における年々の有感地震の回数との間の偏差相関係数はかなり大きく-0.438であった. 雨量の少い時期の後の豪雨のときは通例前駆的な体積収縮が観測された.この前駆的な体積収縮は降雨の荷重と地面の浅い部分に浸透した雨水圧力とによって説明された.