測地学会誌
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スーパーSINETを用いたギガビット・リアルタイム測地e-VLBIの開発
高羽 浩須藤 広志若松 謙一川口 則幸河野 祐介小山 友明高島 和宏石本 正芳小山 泰弘近藤 哲朗関戸 衛竹内 央日置 幸介
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2008 年 54 巻 4 号 p. 269-278

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抄録

ギガビット・リアルタイムe-VLBI測地化システムの開発について報告する. 国立情報学研の運用する「スーパーSINET」を用いて, 国土地理院・つくば32m鏡と国立天文台・三鷹, 岐阜大学11m鏡の間を2.4Gbpsの光回線で接続し, 実験を行った. 光回線の双方向伝送を活かし, 上りと下りでSIX帯の2Gbpsのデータをそれぞれ伝送し, 国立天文台および岐阜大学に設置された相関器で分散相関処理を行うことで4Gbpsという世界最高速度のリアルタイム測地e-VLBIを実現した. 広帯域データによる遅延時間決定について, ガウスフィット法を用いる方法を導入し, 高精度の遅延時間決定ができることが明らかになった. また, 位相傾斜による遅延時間の決定法についても開発を行い, ガウスフィット法とほぼ同程度の遅延時間決定精度があることがわかった. 国土地理院のJADE観測で従来の磁気記録方式 (K4, K5) とe-VLBIの同時観測を行い, 遅延時間を比較したところ, K4, K5に比べてe-VLBIの遅延時間は1日で数100ps移動することがわかった. これはホーンの前からP-cal信号を注入してバンド幅合成を行なうK4, K5ではキャンセルされる, 観測室と受信機間のケーブル長の温度変動がe-VLBIでは現れたためと考えられる. この変動は基線解析ではクロックの推定で吸収され, K4, K5とe-VLBIの基線長が3mm以内で一致する測地結果を得ることができた.

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