抄録
日本を含む世界中で高齢化が急速に進んでおり,若者が抱く高齢者に対する態度は依然としてネガ
ティブである.このような否定的態度の根底にある認知として,本研究では規範的ステレオタイプに
着目した.これは,継承(高齢者は財産を蓄えず次の世代に引き継ぐべきである),アイデンティティ
(無駄な若作りをせずに高齢者らしく振る舞うべきである),および消費(必要以上に社会保障を受け
るべきではない)という3つの下位概念から成る.本研究では4つの実験および調査を実施した.
Study1では,自由記述式の調査によって高齢者に対する規範的ステレオタイプの現状を明らかにし
た.Study2では,規範的ステレオタイプと高齢者へのネガティブな態度の関連について調査し,規
範的ステレオタイプが強い人ほど高齢者への態度がネガティブであり,高齢者が社会参加することを
受容しにくいという結果が得られた.Study3では,規範的ステレオタイプが高齢者に及ぼす影響を
検討した.具体的には,規範的ステレオタイプを感じやすい高齢の参加者ほど若者へのネガティブな
態度が強く,抑うつ傾向が高かった.Study4では,高齢者の社会参加に着目し,その意義を若者の
参加者に提示することで,高齢者の社会参加を受け入れる傾向が強くなるという結果が得られた.高
齢者に対する規範的ステレオタイプや否定的態度について,今後も包括的に検討することが求められ
る.