2024 年 66 巻 1 号 p. 1-10
本研究では短編の物語文章を材料としたウェブ調査の難しさを確認し,その改善方法について検討を行った。まずウェブ調査では対面調査に比べて読解が不十分となる可能性が示唆された。これは先行研究でも指摘されてきた努力の最小限化の影響と考えられる。その影響を低減する改善策として1)教示の工夫,2)続く質問に対して直感に反す回答を指示する教示を物語文章中に挿入するIQC(Instructional Question Check)を用いたスクリーニング,3)二段階の調査設計,4)内容理解質問の設問数の増加を行い,適切な読解を行う可能性の高い参加者に絞って調査を行うことが一定の有効性を持つことを示した。