日本咀嚼学会雑誌
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ガムチューイングによる大脳へのリラックス効果
大塚 公彦工藤 照三滝口 俊男大熊 浩
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1997 年 7 巻 1 号 p. 11-16

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抄録
本研究はガム咀嚼のリラックス効果の研究の一環として, その効果が予想される成分と香料を含んだガム (特性リラックスガムII) を試作し, そのガムの有効性をみるため市販されているガム (リラックスガムI: 商品名リラックス,(株) ロッテ製) を対照として実験調査を行い評価したものである.
実験の内容についてはリラックス状態を2つの方法により捉えた.第1は大脳におけるα波の出現量, 第2は計算作業量である.被験者は健常な19~21歳の男女各6名, 計12名を用いた.
測定項目は通常時の脳波と計算作業をコントロールとしてガム咀嚼後の脳波と計算作業およびガム咀嚼後の脳波と計算作業とした.実験結果, α 波の出現量はコントロールを基準としガム咀嚼後は平均5.1%の増加, ガム咀嚼後は12.1%の増加が認められた.また, 作業量についてはコントロールを基準としガム咀嚼後は6.4%の増加, ガム咀嚼後は16.9%の増加が認められた.
これらの結果からリラックスガムの咀嚼行動は大脳におけるα波の出現量を増加させることや作業量の増加に効果があることが認められた.このことはガムの咀嚼行動がヒトに対するリラックス効果やそれによる集中力の向上に影響を与えたことであり, とりわけその傾向はリラックスガムに顕著にみられた.
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© 特定非営利活動法人日本咀嚼学会
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