対象物までの距離は非常に重要な情報である。公知の測距法としては,送信波と反射波の時間差から距離を推定する方法などがあるが,近距離になると推定が困難になるものが殆んどである。これに対して,マイクロ波レーダの分野では定在波を利用する手法が知られている。具体的には,観測信号のパワースペクトルをもう一度フーリエ変換し距離のスペクトルを求めることで距離を推定できる。我々は,この手法を可聴音域に拡張し,距離推定法を提案するとともに,シミュレーションや建物内の音場での実測を通じてその正当性,有効性を示してきた。本研究では,提案手法について,ケプストラム分析や,観測信号の自己相関関数との比較を含めた基礎的検討を行う。