島根県立中央病院医学雑誌
Online ISSN : 2435-0710
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当院における免疫チェックポイント阻害薬による 下痢・大腸炎の現状
宮岡 洋一兒玉 康秀末光 信介藤原 文塚野 航介小川 さや香山之内 智志田中 雅樹三宅 達也藤代 博史高下 成明山本 智彦大沼 秀行
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2021 年 45 巻 p. 13-18

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抄録

【背景・目的】免疫チェックポイント阻害薬(ICI)には免疫関連有害事象(irAE)が認め られることがあり,特に下痢や大腸炎は発生頻度が高い.今回,当院におけるICIによる下痢・大腸 炎の現状について後方視的に検討した.【対象・方法】2014年7月1日から2019年6月30日までの 期間に当院で新規導入したICI症例98例(重複例5例)を対象とし,主要評価項目として下痢・大 腸炎発症の頻度,副次評価項目としてその臨床的特徴,未発症例との臨床的比較を行った.【結果】 下痢・大腸炎の発症は9例9.2%で,CTCAE Grade1が7例77.8%,Grade2が2例22.2%であった. 下痢・大腸炎非発症89例との比較では,ICIの投与回数と奏効率(CR+PR)が発症例で有意に高かっ た.【まとめ】当院におけるICIの下痢・大腸炎の頻度は既存の報告と同レベルではあったが,今後, 増加しうるirAEに対し,各科が協力して対応する必要があると考えられる.

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