2021 年 45 巻 p. 13-18
【背景・目的】免疫チェックポイント阻害薬(ICI)には免疫関連有害事象(irAE)が認め られることがあり,特に下痢や大腸炎は発生頻度が高い.今回,当院におけるICIによる下痢・大腸 炎の現状について後方視的に検討した.【対象・方法】2014年7月1日から2019年6月30日までの 期間に当院で新規導入したICI症例98例(重複例5例)を対象とし,主要評価項目として下痢・大 腸炎発症の頻度,副次評価項目としてその臨床的特徴,未発症例との臨床的比較を行った.【結果】 下痢・大腸炎の発症は9例9.2%で,CTCAE Grade1が7例77.8%,Grade2が2例22.2%であった. 下痢・大腸炎非発症89例との比較では,ICIの投与回数と奏効率(CR+PR)が発症例で有意に高かっ た.【まとめ】当院におけるICIの下痢・大腸炎の頻度は既存の報告と同レベルではあったが,今後, 増加しうるirAEに対し,各科が協力して対応する必要があると考えられる.