島根県立中央病院医学雑誌
Online ISSN : 2435-0710
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最新号
島根県立中央病院医学雑誌
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 小阪 真二
    2024 年 48 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 飛田 正敏, 松﨑 雅彦, 野﨑 健治, 杉原 太郎, 西 真一郎, 本田 健, 江角 直人, 勝部 浩介
    2024 年 48 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    【概要】二次性骨折予防継続管理料1が算定できなかった症例数と原因を調査した.対象は2022年4月から9月までに大腿骨近位部骨折で当院に入院して手術した100例とした.内訳は4月24例,5月7例,6月9例,7月20例,8月12例,9月28例であった.非算定患者は8例あり,4月が5例,5月,6月,8月が各1例であった.このうち50歳未満の低年齢で算定しなかったものが2例,算定条件を満たしていたのに入力が漏れていたものが3例,検査漏れが2例,処方漏れが1例であった.2022年6月から算定入力漏れについての対策として,手術チェックリストにコスト入力欄を設けて担当看護師に注意喚起をし,さらに電子カルテの伝言板に算定対象患者であることを明示した.検査漏れ,処方漏れに対してはレセプト担当職員が入院中に適時検査や処方の漏れがないように点検し,漏れがあれば担当医に連絡する仕組みを整えた.これらの対策により2022年9月には100%算定することができた.
  • 立原 怜, 吉井 あかり
    2024 年 48 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    概要:本研究は,認知機能低下のある高齢者に対しアビー痛みスケール日本語版を用いて疼痛の程度を評価し,薬剤による除痛を行ったことによる効果を明らかにすることを目的とした.島根県立中央病院の整形外科病棟において,主病名が大腿骨骨折で認知症高齢者の日常生活自立度判定Ⅲ・Ⅳ・Mの患者を対象とした.対象者をNumerical Rating Scaleで評価を行った対照群とアビー痛みスケール日本語版で評価を行った介入群に分類し,除痛の効果について分析した.鎮痛剤の使用回数に有意差は認めなかったが,使用した割合は対照群より介入群が増加し,退院時のFIM得点,尿路感染症と心不全の発症に有意差を認めた.これらのことから,アビー痛みスケール日本語版による疼痛評価による除痛は,認知機能低下のある高齢者に対してADLの拡大や合併症の予防に効果があることが示唆された.今後,より高い効果を得るために,院内全体への周知を行っていくと共に,アビー痛みスケール日本語版での評価が適切に行えるように継続的な教育が必要である.
  • 藤丘 政明, 岡 理歩, 足立 雄亮, 原 千都, 坪内 史子
    2024 年 48 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2022年4月に診療報酬改定が行われ,透析中の運動指導に係る評価の新設として「透析時運動指導等加算」が認められた。当院でも2022年8月から透析中の外来患者に対して運動療法を実施し、透析時運動指導等加算の算定を開始している.本研究では,透析時運動指導等加算の算定状況とともに,透析中の運動療法が身体機能に及ぼす影響について検証を行った.対象は,2022年8月~10月に透析時運動指導等加算を算定した外来透析患者24名のうち, 2022年12月6日時点で,身体機能の変化について最終評価まで完遂した14名を解析対象とした.同期間における透析時運動指導等加算の総算定件数は,合計676件であり,総算定点数は50,700点であった.運動療法による身体機能への効果については,握力には有意な低下を認めたものの,歩行速度やShort Physical Performance Battery は改善する傾向を認めた.また、患者満足度も高かった.
  • 杉原 克彦, 石川 哲造, 渡部 尚人, 福間 優太, 福島 成文, 宮里 恵美, 錦織 伸司, 山中 英樹
    2024 年 48 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    概要: Impellaは本邦にて2017年に使用可能となった補助循環デバイスである.その構成は,心室内に留置するポンプカテーテルおよび制御装置からなる心内留置型ポンプカテーテルである.Impella導入にあたり,施設認定基準を確認した.Impella実施施設認定基準に体外循環技術認定士または人工心臓管理技術認定士の2名を含む3名以上の臨床工学技士の在籍があること1)とされている.当院では,Impella導入前,5名の体外循環技術認定士が在籍しており,この条件は満たしていた.  導入時の,ミーティングやドライランなどと並行して,導入後の運用を考えた準備を開始した.経過を記録する経過表の作成や使用材料のリスト,交換物品の使用開始簿など運用開始に先立ち作成し,臨床工学技士内で供覧した。 Impellaを2022年10月より導入し,現在まで12例(2023年8月末時点)を経験した. 導入後,数例は慣れないデバイスに混乱もきたした.しかし、当院の勤務体制がローテーションであることから,1症例あたり多くの臨床工学技士が携わることができた.また,症例も立て続けにあり,Impellaへの対応も早かった.島根県初導入であり,県内の他施設との情報交換は行えず、導入前は不安が多かったが,導入時のe-Learningに加え,導入前からの準備により大きな問題もなく導入,運用開始ができた.
  • 布野 優子, 福代 美智子, 山本 悠太, 和久利 妃紗子, 島田 杏子, 今岡 桂子
    2024 年 48 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    島根県立中央病院では,2020年から総合的品質管理(total quality management;TQM)活動を行い病院全体で業務改善に取り組んでいる.薬剤局では持参薬業務に関するインシデントを減少させることを2021年度のテーマに掲げてTQM活動を行い,さらなる業務改善について検討した.  病棟・薬剤局における持参薬の流れを整理し,常用薬確認業務の運用方法の変更と一部システム化を行った.その結果,取り組み前後2か月間ずつの調査において,常用薬確認業務に関連したインシデント件数は2020年度28件から2022年度18件に減少し,常用薬確認業務に関連したインシデントの削減を行うことができた. TQM活動を通して,日常の業務の中にある問題点を見つけ,手順に沿って問題解決を行っていくことで業務改善を行うことができ,この活動の効果があったと考える.
  • 佐藤 総太, 前本 遼, 伊藤 拓馬, 海野 陽資, 長見 直, 服部 晋明, 岩﨑 純治, 金澤 旭宣
    2024 年 48 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    妊婦の急性虫垂炎は重症化しやすく,流早産や死産の可能性が高くなることが報告されている.手術が望ましいと判断した場合,母体だけでなく胎児へも影響が及ぶ可能性があること念頭に置きながら診療に当たる必要がある.我々はこれまでも妊婦の虫垂炎に対して腹腔鏡下虫垂切除術を施行した報告を行なっている.現在当院で行なっている複雑性虫垂炎の手術手技を症例報告として提示し,さらに当院での過去10年間の妊婦に対する虫垂切除術の症例の術式と手術成績を文献的考察とともに報告する.
  • 松崎 愛莉, 押越 佳奈
    2024 年 48 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は新型コロナウイルス感染症の流行に伴う面会制限が,看護師の退院支援に与えた影響を明らかにし,面会制限下における退院支援の在り方について検討することを目的とした.方法は,退院支援に関わった経験のある病棟看護師を対象に,退院支援看護師の個別支援における職務行動遂行能力評価尺度を用いた自記式質問紙調査を行った.その結果,看護師の退院支援の実践力は面会制限なしに比べ面会制限ありで低く,リモート面会経験の有無でも差があった.面会制限下において,看護師は面会時の患者・家族との関わり方を工夫し,円滑にリモート面会が行える環境を整備し活用することで,面会制限下での退院支援を円滑にすることが示唆された.
  • 岡村 和弥, 河原 愛子, 石橋 恵美, 金崎 佳子, 湯浅 貢司, 児玉 光史, 金澤 旭宣, 大沼 秀行
    2024 年 48 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    Diagnosing intraabdominal testis is important because it can cause small bowel obstruction (SBO). There are reports of SBO caused by malignant tumors in the intraabdominal testis, but only a few studies report SBO caused by factors other than malignant tumors. Herein, we report a case of intraabdominal testis complicated with a tunica albuginea cyst, which caused adhesive SBO due to abdominal trauma. Intraabdominal testis can cause recurrent SBO if not surgically removed. In our case, the SBO recurred a month after adhesiotomy was performed, and intraabdominal testis was removed. The characteristic imaging findings of intraabdominal testis should be known and a correct preoperative diagnosis should be made.
  • 岸本 燦太, 山内 正信, 上平 聡, 花田 智樹, 金築 一摩
    2024 年 48 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    症例は72歳男性.コロナ罹患後,右下肢虚血悪化,右足趾壊死をきたし緊急入院. 造影CTで,右下肢は外腸骨動脈,浅大腿動脈,膝窩動脈は閉塞し,総大腿動脈と後脛骨動脈のみが開存していた. 左下肢は外腸骨動脈から総・浅大腿動脈は閉塞し,膝窩動脈以下三分枝は開存していた. 術前,血圧脈波検査(ABI)は両側とも測定不能で,皮膚還流圧検査(SPP)は右足関節内側30mmHg,外側8mmHg,左足関節内側28mmHg,外側23mmHgと両側とも高度に低下していた.Rutherford分類5,WIfI stage 4の包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)と診断,JCLIBMリスクカリキュレーターアプリでは, 予測30日死亡・大切断率8.4%, 術後予測2年生存率78%であった.手術は右鼠径部切開で大腿動脈を露出し,右総腸骨動脈から外腸骨動脈へステントグラフト留置と右総大腿動脈-後脛骨動脈バイパス術(in situ大伏在静脈)を行い,後日,右側ABIとSPPの改善を確認後,形成外科にて右全足趾切断術を行った. その後,冠動脈二枝病変に対しては,オフポンプ冠動脈バイパス術(左内胸動脈-左前下行枝)と経皮的冠動脈形成術(回旋枝)を行った。本症例は,下肢及び冠動脈血行再建ともハイブリッド治療を選択し, 良好な結果が得られた.
  • 中村 彩芳, 井上 真一, 松本 紘子, 貝田 亘
    2024 年 48 巻 1 号 p. 59-65
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    A 73-year-old man, critically injured in a burn incident resulting from cooking gas explosion, was transferred by helicopter ambulance to Shimane Prefectural central hospital. Upon arrival, the patient was intubated. The Total Burn Surface Area (TBSA) was 84%, mainly with Deep Burns (DB), and the Prognostic Burn Index (PBI) was 150. We performed enzymatic debridement on the maximum insurance coverage of 30% Burn Surface Area (BSA) in total with topical agent Nexobrid (Kaken Pharmaceutical Co.,Ltd.), a concentrate of proteolytic enzymes extracted from pineapple stem, launched in Japan in August, 2023. Nexobrid only removes nonviable necrotic tissue or eschar in Deep Dermal Burns (DDB) and DB even in the early period after trauma, when accurate evaluation of burn depth is often challenging. Early accurate debridement raises the possibility of dermal preservation, which is important for spontaneous epithelization, and wound bed preparation if skin graft is needed. While the patient died of circulatory failure 4 days after trauma, our experience suggests that Nexobrid is an early, accurate, and less-invasive alternative in debridement, and may assist treatment for burns that affected larger area with surgical debridement combination. However, additional experiences and follow-ups are required to susbtantiate its benefit.
  • 三島 寛人, 井川 房夫, 日髙 敏和, 落合 淳一郎, 奥 真一朗, 堀江 信貴
    2024 年 48 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    脳後方循環動脈瘤は脳深部に存在するため手術到達が困難な部位の一つであり,近年は血管内コイル塞栓術が第一選択とされる施設が多い.しかし,様々な理由で外科的治療の選択肢が必要とされることが想定される.脳底動脈-上小脳動脈瘤に対し開頭クリッピング術を行い良好な結果を得た一例を経験したので報告する.症例は70代の女性で,incidentalに見つかった脳底動脈-上小脳動脈瘤に対し開頭クリッピング術を施行した.術中所見からAnterior temporal approach困難と判断しModified Dolenc approachへ変更し頚部クリッピングが可能であった.脳底動脈遠位部瘤に対して,良好な術野を得るために様々なアプローチ法が開発されてきた.硬膜外操作における固有硬膜の剥離には,神経損傷のリスクが存在するため,この操作を必要最低限にとどめつつ十分なworking spaceを確保するためのわれわれの工夫について報告する.
  • 伊藤 拓馬, 前本 遼, 海野 陽資, 長見 直, 服部 晋明, 岩﨑 純治, 金澤 旭宣, 大沼 秀行
    2024 年 48 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    症例は70歳代女性. 20年以上前より腹部の腫瘤を自覚していたが医療機関を受診しなかった.乳癌の精査中の腹部CTで腹腔内腫瘤を認め当科に紹介となった. 各種画像検査で長径16cm大の腫瘤を認めた. 確定診断は困難であったが, 痛みや食欲低下, 体動困難を伴っているため開腹腫瘍摘出術を施行した. 下腹部を占拠する16cm大の白色の腫瘤だったが, 周囲臓器への浸潤はなく, S状結腸の腸間膜から発生していため, 腸切除は不要だった. 組織学的に石灰化を伴う硝子化と強い炎症細胞浸潤を認め, 硬化性腸管膜炎の診断となった. 発病から20年以上経過した巨大な硬化性腸間膜炎の症例を経験したため, 文献的考察を加えて報告する.
  • 文田 昌平, 中村 嗣, 今田 敏宏, 樋口 大, 森本 剛
    2024 年 48 巻 1 号 p. 79-85
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
    Background: Cervical spine infectious diseases such as pyogenic spondylitis and epidural abscess can be fatal if diagnosis is delayed; however, it is difficult to distinguish them from non-infectious inflammatory diseases, especially from pseudogout. This study aim to identify clinical indicator facilitate the swift diagnosis of pseudogout. Methods: Patients diagnosed with cervical spine infectious diseases and cervical spine non-infectious inflammatory diseases between January 1, 2000, and December 31, 2020, at Shimane Central Hospital were included. Data on patient’s characteristics, vital signs, physical examination findings, underlying diseases, laboratory tests, medication history, lifestyle history, and imaging tests were extracted from the integrated information system; multivariate analysis was performed using descriptive statistics, univariate analysis, and logistic analysis. Results: The study included 265 participants; of them, 147 (56%) were male, the mean age was 73±16 years, and 84 (32%) had infectious diseases. In the univariate analysis, infectious diseases were prevalent in male, younger patients, and those with a history of alcohol consumption, patients with smoking history, patients with paralysis, patients who experienced numbness, and patients who used psychotropic medication. Dyslipidemia was potentially associated with non-infectious diseases. In the multivariate analysis of infectious diseases, the odds ratios were higher for paralysis (odds ratio [95% confidence interval]: 5.5 [2.4–12.5]) and psychotropic medication use (3.2 [1.4–7.2]) and lower for older age (0.9 [0.9–0.95]) and dyslipidemia (0.2 [0.1–0.6]). Conclusion: Paralysis, psychotropic medication use, age, and dyslipidemia are important factors in differentiating cervical spine infectious diseases.
  • 医学雑誌編集委員会 , 委員長 金澤 旭宣
    2024 年 48 巻 1 号 p. 87-94
    発行日: 2024/03/10
    公開日: 2024/04/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
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