島根県立中央病院医学雑誌
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重症下肢虚血と冠動脈2枝病変に対し、下肢及び冠動脈血行再建ともハイブリッド治療を行い, 良好な結果が得られた1例
岸本 燦太山内 正信上平 聡花田 智樹金築 一摩
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2024 年 48 巻 1 号 p. 51-57

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抄録

症例は72歳男性.コロナ罹患後,右下肢虚血悪化,右足趾壊死をきたし緊急入院. 造影CTで,右下肢は外腸骨動脈,浅大腿動脈,膝窩動脈は閉塞し,総大腿動脈と後脛骨動脈のみが開存していた. 左下肢は外腸骨動脈から総・浅大腿動脈は閉塞し,膝窩動脈以下三分枝は開存していた. 術前,血圧脈波検査(ABI)は両側とも測定不能で,皮膚還流圧検査(SPP)は右足関節内側30mmHg,外側8mmHg,左足関節内側28mmHg,外側23mmHgと両側とも高度に低下していた.Rutherford分類5,WIfI stage 4の包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)と診断,JCLIBMリスクカリキュレーターアプリでは, 予測30日死亡・大切断率8.4%, 術後予測2年生存率78%であった.手術は右鼠径部切開で大腿動脈を露出し,右総腸骨動脈から外腸骨動脈へステントグラフト留置と右総大腿動脈-後脛骨動脈バイパス術(in situ大伏在静脈)を行い,後日,右側ABIとSPPの改善を確認後,形成外科にて右全足趾切断術を行った. その後,冠動脈二枝病変に対しては,オフポンプ冠動脈バイパス術(左内胸動脈-左前下行枝)と経皮的冠動脈形成術(回旋枝)を行った。本症例は,下肢及び冠動脈血行再建ともハイブリッド治療を選択し, 良好な結果が得られた.

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