2019 年 39 巻 1 号 p. 124-131
本研究では、自殺発生から間もない遺族に求められる支援のあり方を明らかにすることを目的とした。自殺予防総合対策センターと東京都監察医務院が連携して実施した心理学的剖検研究の面接における、自死遺族のサポートニーズに関する質問に対する自由回答の内容について探索的に検討を行った。研究協力者は平成26年5月から平成27年10月までに、監察医が検案にあたった事例のうち、死因が自殺であった25名(男性11名;女性14名;平均年齢46.6±11.3歳)の遺族である。自殺発生から調査面接実施までの期間は60.3±46.3日であった。自死遺族に求められる支援の種類の具体的な内容が明らかとなり、また、それらが遺族の属性と関連していることが認められた。遺族の性別や故人との関係性等に考慮しつつ、遺族に寄り添いながら、メンタルヘルスについての専門的な知識のみならず社会資源に関する幅広い情報を有する対人援助職による支援の必要性が示唆された。