自殺予防と危機介入
Online ISSN : 2436-8369
Print ISSN : 1883-6046
シンポジウム 地域介入の実際
スクリーニングを用いた多層的予防介入 郡部における中高年者自殺予防の試み
坂下 智恵大山 博史
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2019 年 39 巻 2 号 p. 30-38

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抄録

地域における自殺リスクの低減に向けた有用な自殺予防対策の一つとして、多層的予防介入が注目されている。これは全体的/選択的/個別的予防介入の各層の介入を併存させたアプローチである。介入プログラムの効果発現には、個々の有効な介入の存在はもとより、各層の連結の様相もまた関与する。日本の郡部では、中高年住民を対象とするうつ病スクリーニングを用いた自殺予防活動が実施されており、地域の自殺死亡率の低下が観察されている。本プログラムは多層的予防アプローチを成しており、全体的予防介入としての住民スクリーニング、選択的予防介入としての陽性者の精査スクリーニング、および、個別的予防介入としての有症者のケア・サポートの三層が体系的に連結されていた。各層の体系的連結を伴う多層的予防アプローチは、リスクの消長を来す自殺には有望な予防策と考えられる。

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© 2019 一般社団法人日本自殺予防学会
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