2020 年 40 巻 1 号 p. 18-23
筆者は、名古屋大学にて教員として専属で大学生のメンタルヘルスに従事する精神科医である。さらに、フランスを中心とするヨーロッパの各国で「ひきこもり」についての講演活動を行っており年々そのニーズは高まっている。また、2017年よりフランスのストラスブール大学医学部精神科のセクター観察医を兼ね、定期的に現地の「ひきこもり」の訪問診療を行っている。筆者は、日本ではキャンパス内の自殺予防や「ひきこもり」の学生の診療に関わりながら、フランスでも同様に「ひきこもり」の臨床も関わるなかで、自殺願望のある人や「ひきこもり」は匿名の第三者に相談しやすい傾向があることが見いだされてきた。このことは、日本という異国からフランスまでやってきた精神科医を「ひきこもり」が受け入れたりする事実や、ウェブ診察システムを受け入れる日本の「ひきこもり」の診療の可能性を示唆しているものと思われた。