2020 年 40 巻 2 号 p. 82-88
若者の自殺は世界中で問題となっており、その対策として自殺予防を目的とした教育・研修プログラムの開発は喫緊の課題である。本論文では、国内外で実施されているいくつかの若者向けの自殺予防教育プログラムを紹介する。特に14歳から16歳の生徒を対象として、ヨーロッパで大規模なクラスターランダム化比較試験を行い、自殺予防効果を示したYouth Aware of Mental Health Programme(YAM)について詳述する。加えて、第一筆者が参加したYAMの研修会とインストラクター認定までの過程を説明する。そのうえで、YAMの内容と効果検証の課題に触れ、日本に導入するうえでの問題点について論じる。