2023 年 43 巻 1 号 p. 20-24
自殺は年間、交通事故の約10倍で社会問題となっています。WHO(2000年)の報告によると自殺者の98%が何らかの精神疾患とされ、その多くがうつ状態(うつ病)とされています。
うつ病は内因性のうつ病と神経症性の抑うつ状態に分けて考えられていましたが、最近は両者の区別がつきにくい症例があることから両者を一括してうつ状態(うつ病)として用いられています。その中でも自殺は内因性のうつ病が多数を占めています。そこで、うつ病に対する治療が必要ですが、自殺の危険性が迫っている症例では、入院が必要で薬物・精神療法を行います。精神療法では、なるべく自分を客観的に眺めること、共感を得ること、そして家族の援助が特に重要です。さらに日頃からの信頼と思いやりを基盤とした人間関係を保ち、孤立しないことが必要と思われます。
自殺は余り語られることがないことから、国・県・市町村、学校(小学時代から)に於いて、命の大切さを啓発することが必要と思われます。