自殺予防と危機介入
Online ISSN : 2436-8369
Print ISSN : 1883-6046
教育公演
法医学の領域からみた自殺予防
西谷 陽子笹尾 亜子堤 博志古川 翔太大津 由紀米満 孝聖
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2023 年 43 巻 2 号 p. 3-7

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抄録

法医学領域は事件・事故をはじめとしたさまざまな死亡事例を取り扱っており、死因究明を行うことを目的としている。現在の日本における死亡事例の取り扱いで、医師法第21条に異状死の届出の義務が明記されている。2020年の自殺での死亡事例は20,243人であった。2020年の傷病および外因で死亡した数は66,234人であり、自殺は外的要因での死亡事例のうち約3分の1を占めることになる。精神科領域の疾患は自殺の危険因子でもある。自殺事例では処方を受けていることは多い。一方でこれらの処方薬の過量服用やアルコールとの併用が死因となったり、あるいは二次的に死に至ることがある。また、孤立死(孤独死)というと、高齢者の一人暮らしで病的に亡くなった事例のイメージが強いかもしれない。自殺事例では死後長く時間が経過してから発見されることは少なくない。社会からの孤立・孤独対策が自殺予防に重要であると言える。

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© 2023 一般社団法人日本自殺予防学会
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